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大学生ブランドをフル活用!学生だからこそできる、新しい地域参加のカタチ

「自治体」「企業」「農家」「商店街」「学生」「主婦」・・・社会の中に存在する様々なコミュニティ。「こんなことしてみたい!」「こうだったらいいなぁ・・・」と個々に思うだけでは物事ってなかなか前には進まない。立場の違う多様な人たちが、一つの課題についてオープンに対話する場所があったら…そのパイプ役に大学生がなればいい!そんな思いから始まったのが「静大フューチャーセンター」。今回はディレクターを務める奥洞知依さんにお話を伺いました。
※フューチャーセンター=多様な人が集まり、社会問題等をテーマに良い対話をするための専用空間

取材日2016年6月2日

PROFILE

静岡大学農学部3年。”同級生以外の人たちと関わりを持ちたい!”という思いから静大フューチャーセンター(静大FC)に参加。他県で生まれたこともあり、以前は静岡に対して愛着を持てなかったが、静大FCで様々な活動をしていくうちに静岡の良さを実感。「コミュニティをつなぐパイプ役として、対話の『場』を開き続けることが今の私ができること!」と愛車の原付でどこまでも行く、行動力溢れるパワフルな4代目ディレクター。

大学生だからできる、良い対話をするための”場”づくり

ズバリ、静大フューチャーセンターとは?

今の時代、少子化や高齢化、環境や情報管理の変化・・・社会や地域で抱える課題がとても複雑になっています。
●企業・・・商品のPRを効果的に進めるにはどうしたらよいか?
●地区の自治会・・・地区の活動に若い人達にも参加してほしい
●商店・商店街・・・商店街を活気あるものにするにはどうしたらよいか?
●介護の現場・・・介護の人材が足りない!若い人にもっと興味を持ってほしい
など、コミュニティ単体で取り組んで来たけどなかなか成果が生まれない・・・という現状が多く見られます。そんな時、様々な立場の人たちが当事者と出会い、自分事で未来志向な対話を通してアクションにつなげることはできないだろうか。私たち大学生が、そんな『対話の場』を作り続けることができたなら・・・およそ3年前に他の事例を参考に静大FCは始まりました。

大学生が対話に入ることでどんな効果があるのですか?

そうですね。私は大学生の強みはわか者でありばか者であること(場合によってよそ者であること)だと考えています。つまり、立場による利害関係が学生には生じにくいので、よりフラットな状態で対話の場をつくることができること、それが私たち大学生が場を開く場合最大の強みだと考えています。何と言うか…より本音の部分、地の声を引き出せるのではないかなぁと。そして大学生は卒業すると様々な職種にばらけていきます。そんなとき、一人一人が静大FCを通して今地域社会で起きている課題に触れて、心に考える種を持っていれば少しずつ社会に“優しく”働きかけることができるのではないでしょうか。少し話はそれますが、“優しさ”が今の私のテーマです(笑)

対話をすることで始まる小さな変化。それを繰り返すことで生まれる地元への愛着

特に印象に残った活動はどんなものでしたか?

たくさんあるのですが・・・例えば伊豆松崎町でのフューチャーセッションでしょうか。静岡大学では、課題を抱えている地域と大学が連携・協働することで課題解決を支援する「地域課題解決支援プロジェクト」を行っています。私たち静大FCは「地域と学生がつながる活動」の事例発表を行ったご縁でフューチャーセッションも行いました。その時参加して下さったのは松崎町の商工会、漁業関係者、狩友会、役場の方、婦人会、学生など約20名。当初、地元の人は役場の方の声掛けで目的も知らされずに集められていました。一体何が始まるんだ???という雰囲気でしたね。最初は「田舎」「海しかない」・・・など愚痴っぽい意見が多かった。それが、時間が経つにつれだんだんと変化していくんです。

普段接することのない人たちが、自分たちの仕事や地元についての想いを語り始め、「そんなことしてるんだ!」「それはいいねぇ!!」と互いに関心を持ち、共感し始め、松崎町のために何ができるだろう?と同じ目的意識を持つことができました。そして、会の最後には、一人一人にとって松崎町はとても誇らしい存在になっていました。

これを機に、私も松崎町が好きになり、たびたび原付をフェリーに乗せて(!)行かせてもらっています。今年の夏には松崎町のお寺で、お寺の未来を考えるワークショップを大学生交えて開催していただくことになりました。これから、松崎町の方々とどのように関わらせていただけるのか、とても楽しみです。

ただフューチャーセンターを開催しただけでは何か変化が起こるわけではありません。課題に向き合っている当事者の思いがあってこそ、そこに加わるよそ者のフラットな発言やアイデアに価値が生まれるんです。ですからフューチャーセンターの機能の一つとしては、課題を持った人の思いを受け止め、参加者を募って対話する空間をコーディネートすることだと言えます。フューチャーセンター自体が何か解決してくれるのでは、という期待は今の文脈でいえば誤りといえるかもしれません。

ゆくゆくは、静岡を好きになって残っていく学生が増えて欲しい!

奥洞さんが目指す、これからのフューチャーセンターとは?

フューチャーセンターに対する思いや価値は人それぞれです。ただ共通して言えるのはこれまで運営に関わっていた先輩方の多くが静岡に残っているということ。自分の今住んでいる地域と深く関わることで静岡に愛着が生まれ、卒業後も静岡に住みたくなるのだと思います。
私もフューチャーセンターの活動を通じて地元に誇りと愛着を持っている方々とたくさん出会い、初めて静岡が好きになりました。今では様々な活動から実践の学びを体験し、将来への選択肢が広がったように思います。
私は決して静岡が一番良い地域だと思っているわけではないのですが、”せっかく”静岡に今住んでいるのなら、その土地に愛着を感じることができるといいですよね。
静大FCの立場としては、そのための小さなきっかけをつかめるような活動ができたらな・・・と思っています。

奥洞知依さんのパワーの源


  • 農作業に参加すること
    多い時は1ヶ月の週末全てがそれにあたることも(笑)一年生の頃から続けている農村での実習プログラムは、静大FCの活動と合わせて私の2本柱です!


  • 黒糖
    ハマっているのが黒糖です。いつもは沖縄のものを食べていますが、県内産もあるらしく、最近とても気になっています。脳の活性化のために糖分は欠かせませんよね?!


  • 人とのつながり
    静大FC、農村での活動を通じて、様々な方との出会いがありました。特に一年生の頃から知り合いの先輩や社会人の方がいるので、まさに“見守られている感じ”です(笑)

インタビューを終えて

人懐っこい笑顔とキラキラした瞳。若いっていいな~と心の底から感じました。好奇心旺盛で、信じた道を迷わず真っ直ぐに突き進む!大人になるにつれどこかに置き忘れてしまっていた感情を目の当たりにしたような、目が覚めたような清々しい気分になりました。奥洞さんの言葉の中にあった「フラットな状態」を引き出すパワー。心地よく耳から入ってくる素直な言葉がそんな力を持っているのかもしません。これから何をやってくれるんだろう・・・と期待しつつ、ワクワクするような気持ちで取材を終えることができました。本当にありがとうございました。

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