毎日の暮らしにもっとアートを。
デコレーション文化を広げたい。
趣味で始めたシュガークラフトの魅力にハマり、現在は日本を代表するアーティストとして、講師として、また、協会の理事としても活躍されている佐藤秀子さん。2016年5月には、イギリスで行われた世界大会にて、フローラル部門トップのトロフィーを獲得されました。
静岡ではまだまだ馴染みが薄い「シュガークラフト」の甘〜い魅力に迫ります。
取材日2016年6月8日
PROFILE
一般社団法人 日本シュガーアート協会 理事
インターナショナルデコレーションクッキー協会 理事
英国シュガークラフトギルド会員
(社)日本ブライダル事業振興協会ブライダルコーディネーター
全日本ブライダル協会ブライダルコンサルタント
今田美奈子食卓芸術サロン サヴォワール・ヴィーヴル・ジャポン師範資格
フードコーディネーター
調理師免許
スィーツコンシェルジュ
ティーインストラクター
本場イギリスのシュガークラフトの世界に触れ、
圧倒されました。
シュガークラフトを始めたきっかけは何ですか?
以前、趣味で通っていたお菓子教室のプログラムがすべて終了して、次にやることを探していたとき、先生に「シュガークラフトをやってみない?」って勧められて。初めはそれほど魅かれなかったんですが、世界大会がイギリスで開催されると聞き、旅行気分で見に行ったんです。本場イギリスのシュガークラフトの世界に触れ、圧倒されてしまいました。帰国後、本格的に始めてみようって思ったんです。
イギリスと日本では、そんなに違うものなんですか?
使う材料も、教える環境も、日本とは違っていました。壁一面の大きな窓からはバラが咲いているお庭が見えて、キッチンからはキッシュが焼ける香りが漂ってくる。紅茶をいただきながら、広々としたリビングでレッスンを受けるんです。作品はとても繊細でリアル。私もこんな作品を作ってみたいと思いました。
2000年から東京にあるニコラスロッジ先生の教室に通い始めました。翌年、日本で行われた「シュガークラフトグランプリ」のアニバーサリー部門にて銀賞を受賞。ビギナーズラックでしたね。 日本でこれほど細かいお花をつくる人がいなかったようで、当時はまったく無名でしたが、皆さんの記憶に残る作品だったようです。
受賞をきっかけに教室を開校。すべてが新鮮でした!
講師として活動されたのはいつ頃からですか?
最初は、ウエディングケーキをつくりたいという女性に、プライベートレッスンしていました。その後、2001年の受賞をきっかけに「アートシュガーアカデミー」を開校しました。教えることも教わることも、すべてが新鮮で楽しかったですね。
現在、登録している生徒さんは40名くらい。趣味で楽しんでいる方はもちろん、講師を目指す方、ワークショップをやっている方、現役講師の方など様々ですが、静岡県外の生徒さんが多いですね。
昨年15周年を迎えました。現在は、講師として教えるだけでなく、一般社団法人日本シュガーアート協会の理事も勤めています。さらに、一般社団法人インターナショナルデコレーションクッキー協会も創設しました。
部門トップの「トロフィー」は初受賞。
とても嬉しかったです!
4年に1度、行われるイギリスのコンテストにて、部門トップの「トロフィー」という称号を獲得されたそうですね。おめでとうございます!
ありがとうございます。「British Sugarcraft Guild - International Exhibition」という、世界各国からシュガークラフトアーティストが集まる祭典です。2016年5月21日22日、イギリスのバーミンガムの西にあるテルフォードインターナショナルセンターで行われました。
この大会はコンテストのほか、有名アーティストによるワークショップやデモンストレーション、材料や道具類の販売などが行われます。さまざまな国の皆さんと交流できるのも魅力のひとつです。
このコンテストはいくつもの部門に分かれていて、部門ごとに毎回詳細な課題が出されます。私はOPEN DIVISIONのフローラル部門にエントリーしました。フローラル部門はリアリティを求められる部門です。課題はワイルドフラワー(野草)のアレンジです。選んだ花は「シロツメクサ・蓮華草・ニゲラ・カラスのエンドウ・つくし」。部門トップの「トロフィー」という称号をいただきました。そのほか、コールドポーセリン(樹脂粘土)部門にもエントリー。こちらは「ブロンズ」を受賞しました。今回で3回連続の受賞ですが、部門トップである「トロフィー」は初めて。とても嬉しかったですね。
大切なのは、最初のひらめき。構想に時間がかかります。
作品をつくる上で、苦労していることは何ですか?
いちばん時間がかかるのは「構想」なんです。構想が決まってしまえば、あとはつくるだけ。とはいえ、ぎりぎりまで手つかずで(笑)。今回も2ヶ月程前からずっと悩んでいました。ゴールデンウィークになってようやくお尻に火がついて。実質、2週間ちょっとで2作品をつくりました。
皆さん、私の作品を覚えてくれています。多分、構想が“へんてこりん”なんです(笑)。大切なのは、最初のひらめきかな?
これほど多くの賞を受賞しているアーティストはいないと聞いていますが…。
そうみたいです。私ね、肩書きがないんです。イギリスのシュガークラフト専門の学校を卒業したアーティストの皆さんと同じ土俵に上がるには、コンテストで受賞し続けなければならない。頑張るしかないんです。
チャレンジャーだった新人の頃はがむしゃらにやるだけでしたが、キャリアを重ね、連続受賞がかかっている今は、落ちるわけにいかないというプレッシャーが重くのしかかってきます。ホントに怖いです。
今回のコンテストも、帰国直後は抜け殻状態でした。でも、これからもアーティストとして成長し続けるために、4年後のコンテストにもチャレンジしたいと思っています。
毎日の暮らしにデコレーションをもっと取り入れてほしい。
今後の夢についてお聞かせください。
デコレーション文化を広げていきたいです。ちょっと前まで、シュガークラフトは敷居が高く、お金持ちの奥様しかできませんでした。でも今は違います。道具や材料も手に入りやすくなり、アイシングクッキーやカップケーキなど、シュガークラフトの魅力を誰でも気軽に体験できるようになりました。
毎日の暮らしにデコレーションをもっと取り入れてほしい。デコレーションはコミュニケーションのひとつです。そこに在るだけで、話題づくりになり、おしゃべりに花が咲き、笑顔が広がります。「バラがきれいね」って、不機嫌な表情をする人はいないですもんね。
佐藤秀子さんのパワーの源
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甘いもの&おしゃべり
美味しい甘いものを食べること。話題のスイーツを求めて、県内外に足を運んでいます。先日、コンテストでイギリスを訪れた際も、デビッドオースチンのローズガーデンに併設されたティールームで、アフタヌーンティーを楽しみました。甘いものをいただきながら、同じ方向を向いている仲間たちとおしゃべりすることがパワーにつながっていますね。
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ゴルフ
広い自然の中で身体を動かして、たくさん笑うこと。身体も心も癒やされます。
佐藤秀子さんの受賞歴
- ・ 第2回シュガークラフトグランプリ2001 アニバーサリー部門 銀賞
- ・ 第4回シュガークラフトグランプリ2003 クラフト部門 銀賞
- ・ 第5回シュガークラフトグランプリ2004 アニバーサリー部門 銀賞
- ・ 第6回シュガークラフトグランプリ2005 フラワークラフト部門 銀賞
- ・ THE BRITISH SUGARCRAFT GUILD INTERNATIONAL EXHIBITION 2004
CREATIVE WORLD OF SUGAR OPEN DIVISION FLORAL-CLASS SILVER PRIZE
- ・ THE BRITISH SUGARCRAFT GUILD INTERNATIONAL EXHIBITION 2012
CREATIVE WORLD OF SUGAR OPEN DIVISION FLORAL-CLASS SILVER PRIZE - ・ THE BRITISH SUGARCRAFT GUILD INTERNATIONAL EXHIBITION2016
CREATIVE WORLD OF SUGAR OPEN DIVISION FLORAL-CLASS 「TROPHY PRIZE」
CREATIVE WORLD OF SUGAR OPEN DIVISION COLD-PORCELAIN-CLASS「BRONZE PRIZE」 - ・ 2005ジャパンケーキショーTOKYO 銅賞
- ・ 2008ジャパンケーキショーTOKYO 銅賞
- ・ 静岡県洋菓子協会作品展2003 銅賞・特別賞
- ・ 静岡県洋菓子協会作品展2004 銅賞
- ・ 静岡県洋菓子協会作品展2005 大会会長賞
- ・ 静岡県洋菓子協会作品展2006 大会会長賞
- ・ 静岡県洋菓子協会作品展2008 金賞
- ・ 世界の菓子まつり2009 銅賞
- ・ 世界の菓子まつり2013 金賞
・ 2014 Wilton International Cake Decorating Contest プロの部門 第2位
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〒420-0839 静岡市葵区鷹匠1-14-12 - 営業時間
平日 10:00〜17:00 - TEL&FAX
090-6097-7711 - ホームページ
http://artsugar.net/
インタビューを終えて
「ずばり、シュガークラフトの魅力は?」という質問に「何も考えずに、没頭していられること。甘い香りがするので、癒やされます」と答えてくださった佐藤さん。アートシュガーアカデミーに通う生徒さんたちは、毎回、元気になって帰って行くとか。非日常の世界観は、女の子の憧れであり、夢であり、女子力アップやアンチエイジングの効果もありそう。私も佐藤さんからいっぱい元気をもらいました。ありがとうございました!