• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  1. しずおか賢人 ホーム >
  2. 特集 >
  3. 持続可能な地域をみんなでつくる 楽しむ

持続可能な地域をみんなでつくる 楽しむ

一度は静岡を離れてみて故郷の良さを再認識し、現在は藤枝市を拠点に地域のために様々な活動を展開中の渡村マイさん。地域資源体験プログラム「たびいく」や「藤枝おんぱく(温故知新博覧会)」にも携わっています。
今回は昨年秋に菊川市にオープンした167 TOMODA KOMINKAの古民家カフェMani Cafeの開店までのいきさつや、NPO法人SACLABOの事業内容などのお話をうかがいました。

取材日2016年1月8日

PROFILE

静岡県藤枝市出身。学生時代に沖縄やアメリカで訪ね学び、藤枝に帰郷後は藤枝市観光協会に勤務。新しい旅の仕掛け人として、地域取材で得た出会いや体験情報を組み合わせたまちづくり観光の推進と発信に取り組む。地域素材の魅力発信、地域の人に出会う「ローカルツーリズム」を提唱。2013年6月、有志の仲間と共にNPO法人SACLABOを立ち上げ、静岡県中部地域をフィールドに活動中。
静岡県ふじのくにしずおか観光振興アドバイザー、静岡県地域づくりアドバイザー。

持続可能なちいきづくり

静岡県藤枝市で2013年より活動を行っているNPO法人 SACLABO。コンセプトや活動の概要を教えてください。

活動のコンセプトは「持続可能な地域づくり」です。持続可能性を目指すのは食だったり、環境だったり、地域の素材だったりするのですが、これまでの時代の何でもハード面を新たに造ったり箱だけ整えていくのではなく、「いまここ」にあるものに対して視点を変えてみることを提案します。その具体的な手法と気づくきっかけづくりとして、地域の魅力を体験してもらう「藤枝おんぱく(藤枝温故知新博覧会)」を開催しています。この事業では地元の人も旅行者も、みんなで資源を活用して、地域を知り、好きになる体験プログラムが多数あります。例えば石材屋さんが案内する藤枝まちあるきもあれば、鉄蓋=マンホールを巡るまちあるき、山の妖怪ツアーなど。一つの地域でも、体験プログラムを企画する人によって「まち」は違ってみえてきます。

また、食の持続可能性という点では、毎月第3日曜の朝の7時から藤枝市の蓮華寺池公園で「れんげじオーガニックマーケット」を運営メンバーと一緒に開催しています。オーガニックの野菜や食材から木工作品やフェアトレードの雑貨などの出店があり、生産者さんと消費者さんがコミュニケーションする場をつくっています。安心安全、環境に配慮された食の提供、地産地消を目指しています。

その他に、藤枝駅前の村松八百蔵商店や菊川の167 TOMODA KOMINKAでレンタルスペース窓口もやっています。それぞれ長い歴史を持った建物で、とても素敵な空間です。イベントや展示会、会議など、いろいろな方に活用して頂いてます。

古民家のレンタルスペース

歴史が育んだ財産、古民家の活用

昨年秋に菊川市友田にある築130年の古民家167 TOMODA KOMINKAとしてオープンし、「古民家カフェ」となっています。
開店までのいきさつは?

これまでの人と人の繋がりや取材、事業を通して得た人脈から、菊川の古民家のオーナーさんと出会い、古民家の管理を任せていただきました。

1年目の2014年。「草刈&バーベQ」を企画したところ、30~40人もの人が集まってくれました。レストランのシェフをはじめ地元の方々がバーベQを開催してくれ、古民家の活用法についてのトークセッションをしました。オーナーさんの人脈のお蔭で様々な業種の人の意見を聞くことができ、とても参考になりました。次に、建物内部の掃除を、ということで、ランチ付で「大掃除大会!」を企画。20人程集まってくれました。そういった企画を通して、古民家が人と人の交流の場となりはじめました。

プレ見学会に参加した川口さん親子が2015年10月末、Mani Cafeを古民家内にオープン。以前、ベーカリー販売をされていたので、天然酵母のパンは絶品ですよ。素材にこだわり、なるべくオーガニックのものを使用したランチはとてもおいしいです。現在は金・土曜に営業しています。

古民家内のMani cafe

人・モノが集う、出会いの場所

古民家カフェにはレンタルスペースも併設されているとのことですが、どのようなイベントが開催されていますか?

昨年秋には、現代アートの展示会「現代抽象×古民家」で現代美術の作家2人の作品を展示しました。古民家全体を1つの作品としてとらえてくださり、古い空間と現代アートが絶妙にマッチして、想像以上にとても素敵な展示会でした。その他、着物の着付け体験、ローズウィンドウとレザークラフト、和の小物作り、スケッチ会、蕎麦打ち道場、朗読会などに利用して頂きました。月1回、パン作り講座もはじまりました。「藤枝おんぱく」からのつながりで、今は菊川の方々による「菊川おんぱく」も立ち上がり、SACLABOメンバーもサポートしています。おんぱく仲間の皆さんの中でも古民家のレンタルスペースを利用して頂いてます。

古民家周辺の住人の人たちも、空き家だった古民家の活用を歓迎してくれているようで、宣伝や駐車場なども協力していただき、本当にありがたいです。
イベントごとに対象の性別や年齢層が異なるのですが、古民家を訪れた人が共通して言うことは「ここはいい場所だね~」。宣伝というよりも、人が人を呼ぶ感じで、古民家が人を呼び寄せる、と言いますか、古民家の持つ潜在的な魅力がすごくあると感じています。

様々なイベントにも古民家レンタルスペースを利用

新たな視点も加わり、一歩一歩前進を!

地域アドバイザーとして、多岐にわたり活動の様子ですが、苦労話などあれば。

「たびいく」やローカルツアーの企画では、企画の当たり外れがありますね。自分がおもしろい!と思って企画しても、参加してくれる人が集まらないこともあります。トライ&エラーし続けていますが、エラーも多いです(笑)

昨年出産し、育児と仕事を両立したいと思っています。マタニティだった昨年はちょっとやり過ぎてしまって、周りの皆さまに迷惑をかけてしまったので、今年は一歩一歩やっていこうと心がけています。仕事はとても好きなので、主人の実家と自分の実家、両家を巻き込んで協力してもらいながらやっています。本当に助かっています。出産・育児を通して得た新しい視点や感覚も今後の仕事でも何かリンクするかもしれないです。

出産・育児で得た新しい視点を今後の仕事に活かしたい

地域の魅力を広め、「豊かな」地域づくりを

今後の目標、展望は?

NPO法人SACLABOの立ち上げメンバーもUターンしてきたメンバーが多いんですが、静岡を外から見て改めて良さを認識することってありますよね。だからこそ、この地域に住む人が誇りに思うもの、今あるものを大切にしていきたいです。

持続可能性ということでは自然エネルギーや食のことをもっと進めていきたいと考えています。

これからも地域の素材を組み立てることで新しい切り口やローカルツアーを提案したいですね。旅に行くけど、学びもあり、出会いもあるという、単にお金を払って消費する旅行ではない、何かを育んだり、何かに気づいたりするきっかけとなるような少人数制の「たび」をコーディネートしたいです。地域も藤枝だけではなく、静岡全域で。

藤枝のれんげじオーガニックマーケットを定期的に開催していて好評なので、古民家でも、定期的に開催するものをやっていきたいです。まだ構想中なのですが、子どもの遊び場としてこの古い空間が使われるのも、過去と未来がうまくつながるような気がします。使っていただく方にも、世代をこえた交流の場として様々なアイディアを持ち込んで古民家を活用してほしいです。関わってくれる人が増えていくと古民家も喜ぶと思います。

「地域づくり」といいうと課題が多いイメージがありますが課題ではなく、良いところに焦点を当てて、気づける視点を育てていきたいです。自分が住んでいるところが豊かだと実感することは、精神的にもハッピーだと思います。「うちの地域には何もない」ということはよく聞く話ですが、わかりやすく言うと外部から人が訪れた時に、案内したい場所がたくさん!あるということ=「豊か」ということです。暮らしの質が向上ってそういうことでもありますよね。その人自身も豊かになり、最終的には地域の豊かさにつながるんじゃないですかね。何より私自身が地域で楽しく過ごしたい!と思ってます。

インタビューの様子

渡村マイさんのパワーの源

  • 古民家Mani Cafeのランチ

    地元の食材を使用し、オーガニックのものを多く取り入れ、安心安全にこだわっています。とてもおいしいと評判です!一度は食べに来てくださいね。

    【店舗情報】
    Mani Cafe
    open:金・土 11:30 - 16:00
    ・住所 : 菊川市友田167
    ・tel : 050-7115-4558
    ・e-mail : imapann549@yahoo.co.jp
    ・blog : http://kotonomama.eshizuoka.jp/
    ・Instagram : mani cafe shizuoka

  • 旅行

    大自然に触れると確実に充電できます。広い海や高原、大平原、など大自然の中にいるのが好きです。写真はタイチェンマイの染織の村を訪ねた時のもの。

  • 家族

    昨年より家族が増えました。両家のファミリーにもかわいがってもらってます。広い意味で家族に支えられています。

インタビューを終えて

インタビューで渡村マイさんは、とても前向きでパワーのある方だと感じました。地域のために動こうという同じ志を持つ多くの人とつながり、活動できることに感謝しながらも、未来へのビジョンを持ち、一生懸命仕事に取り組んでいる姿勢は素晴らしいです。きっとこれからもしっかり地域に根をおろし、多くの方とつながりながら、活躍の場を広げていくことと思います。
静岡全域で「おんぱく」や「たびいく」のような取り組みが浸透していくと良いですね。そして、私も家族と参加してみたいです。

NPO法人SACLABO事務局のインフォメーションはこちらから

この特集の後に読まれています

特集 vol.10
一番美味しい状態で、お客様の元へ届けたい!思いの詰まったイチゴ作り。
イチゴイチエ石神農園 石神 誠さん
特集 vol.9
地元を盛り上げ、地元に恩返しがしたい!
雄大株式会社 取締役副社長 土屋 大雅さん
特集 vol.8
岳南電車非公認キャラクター「ケロリーマン」をプロデュース
地域活性化デザイナー 石井 実さん