ありふれた日常にとけこむHUISのものづくり。
静岡県を中心にシャツから小物などを企画・販売するHUIS(ハウス)。肌になじむ生地と独特の世界観が評判を呼び、活躍の場を徐々に県外にも広げています。今回、代表の松下さんにHUISにかける想いを伺ってきました。
取材日2015年12月26日
PROFILE
兵庫県の大学を卒業し、神戸で就職。結婚後、浜松へ。遠州織物との出会いから、2014年10月にHUISを立ち上げ。現在、2児の母。
大切な人に着てもらいたいものを
独特の世界観が特徴のHUISですが、大切にしていることはなんでしょうか?
暮らしやライフスタイルに、どうなじむかを大切にしています。色選びにしても、HUISに違和感のない色を選ぶようにしています。どんなにきれいな色でも、「これはHUISのコンセプトには合わないな」と思えば使いません。細かいところでは、染め方で色合いや肌触りが大きく異なります。染め方には、糸を染めてから織る先染めと、織ってから染める後染めがあるのですが、HUISは、なるべく先染めにこだわっています。後染めと比べ、色の風味と袖を通した時の肌触りが全然違いますよ。
一枚のシャツに対するこだわりをとても強く感じます。製品の種類も、子どもから大人までサイズを取り揃えていますね?
夫がシャツ好きなのですが、自分たちに合う理想のシャツがなかなかなかったんですよね。それで、形や色合いなどしっくり来るものが欲しいなと思いました。やっぱり家族にいいものを着てもらいたい。ファストファッションのように安いシャツはたくさんありますが、その中でもお気に入りの一着があってもいいと思うんです。だから、子どもも含めて、家族で長く着られるものを最初に作りました。
出会うべくして出合った遠州織物
遠州織物とは、どのようにして出会ったのでしょうか?
ある程度具体的なイメージを持った時、遠州織物工業協同組合の事務局長さんを紹介してもらい、機屋さんの生地を見る機会がありました。そこで、ある生地に一目ぼれしてしまって。その触り心地からシャツのイメージがわき、機屋さんを紹介して頂くこととなりました。
行動が早いですね。始めることに迷いはなかったですか?
とりあえず、やってみようと思いました。定番のシャツなので、季節に左右されることもなく流行もありません。気長にやってみようと、夫の一押しもあって、始めることにしました。
苦労が喜びに変わる瞬間
HUIS立ち上げまでファッション業界の経験がなかったと伺いました。初めてのことばかりで、苦労したことは多々あったのではないでしょうか?
そうですね。自分ではパターンがひけないため、パタンナーさんにイメージを伝え、パターンをひいてもらっています。立ち上げ当初は、襟の大きさ、ポケットやロゴの位置など数ミリ単位でこだわったため、試作を何度も繰り返しました。
パタンナーさんからは、「そんな細かい所まで言われたことがない」と言われましたが、最初に妥協したくなかったんです。他にも、この業界の経験がなかったため、工程にかかる時間や季節による忙しさなど、知らないことがたくさんありました。こちらからお願いをしているので、言いたいことを言っているだけでは、わがままになってしまいます。そのため、相手への配慮を忘れずに、信頼関係を壊さないようにしていました。
それだけこだわりぬいたシャツができた時は、嬉しかったのではないでしょうか?
はい、最後のパターンの修正が終わったときは、出来上がりが待ち遠しかったです。一番嬉しかったのは、パタンナーさんが「私が第一号で買う」と、出来上がったシャツを、よけていてくれたことです。遠州織物は、歴史も深く、海外の有名ブランドが買い付けにくるほど高品質です。 そういった歴史や誇りを背負っている方々と一緒に、一つの事をできたことが嬉しいです。
伝わりにくいもの。でも大切なもの。
今後の展望についてお聞かせ下さい。
「県外でも取り扱いを増やしていきたいと思っています。県内は、浜松のカフェスペースの一角に置いて頂いたりしています。嬉しいことに、買ってくれた人がメールで連絡をくれたことがあります。「袖を通してみたら、気持ちよくて、この素晴らしい出会いに感謝します」と。とても嬉しかったですね。静岡伊勢丹でもイベント出展のお声かけをいただいたり、静岡市でもご縁を頂く事が多くなってきました。値段だけを見れば、ファストファッションのほうが安いです。しかし、HUISはものの良さを形にしていくことが大切だと思っています。
今後も、コンセプトを大切にしながら、HUISの世界観を育てていきたいと思います。
松下あゆみさんのパワーの源
家族との時間
子どもや家族と一緒にいる時間を大切にしています。
土日は、子ども中心の生活になっています!
仕事の合間の時間
仕事の関係で、HUISの製品を置かせてもらっているカフェや雑貨屋さんに行く事があります。その時に、ホッと一息つける瞬間が好きです。
ショッピング
学生の頃から洋服が大好きで、時間があれば洋服を見に行っていましたね。最近は、忙しく昔のようには行けてませんが、洋服が好きなことに変わりはありません!
HUISのインフォメーションはこちらから
- オンラインストア及び一部店舗での取り扱いとなります。
※店舗情報につきましては、ホームページをご確認下さい。
http://www.1-huis.com
インタビューを終えて
落ち着いた雰囲気と、芯の強さをかねそろえている松下さん。HUISについて話を進めていくと、色々な想いやアイディアを話してくれました。組合さんへ遠州織物を使いたいと、話を持ってくる人はいるようですが、 実際ここまで形になったのは初めてとのこと。具体的なイメージと、想いがなければできないことだと実感しました。
今回のインタビューを通して、松下さんの生き方、ライフスタイルに少し触れたような気がします。家族との時間のすごし方、ものを大切にする想い。それがすべて反映されたのがHUISであり、日常なのだと思います。