100年の歴史を受け継ぐ醤油作り。若き6代目に聞く醤油屋の伝統。
静岡県浜松市浜北区で100年以上に渡り醤油を造り続けている明治屋醤油。現社長の5代目の後を引き継ぐ、6代目野末将平さんに醤油作りのこだわりと、今後の展望について伺いました。
取材日2016年4月23日
PROFILE
明治8年創業の醤油醸造所である明治屋醤油の六代目。 静岡県浜松市出身。浜松市の高校を卒業後、東京の大学に進学する。
歴史を繋ぐ責任の重さ
野末さんは6代目ですが、小さい頃から醤油屋を継ぐつもりだったのでしょうか?
高校卒業後、東京の大学に進学後、24歳の時に実家に戻ってきました。それからしばらくは、継ぎたいという強い意志はなく、継ぎなさい言われれば継ごうかなとその程度の考えでした。その後、会社の売上が落ちた時期があり、継ぐということを真剣に考え始めます。100年続く醤油屋なので、古くから付き合いのあるお客様がたくさんいらっしゃいます。今までの歴史を、私の代で終わらせたくないと思うようになりました。
随所に見える醤油屋の伝統
明治屋醤油のこだわりを教えて下さい。
醤油の原料は、大きくわけると大豆、小麦、塩、麹菌です。これらを合わせて、諸味(もろみ)を作ります。この諸味から醤油を絞り(生揚醤油)、火入れをしたり、味付けをしたりして様々な醤油ができあがります。うちは、この工程の中でも諸味を自社で作ることにこだわり、小麦と大豆を自社で育て、原料から作っています。昔から諸味を作ることにこだわってきました。そんな当たり前のことを、時代に流されず、当たり前のようにしてきています。毎日のように食卓にあがるものだからこそ、安心して使って頂くことが大切ですよね。
昔からの伝統を大切にされているのが随所に見られますね。
醤油作りはもちろんですが、建物にも大切にしていることがあります。工場見学などをする際に、お客様にあがってもらう建屋は、はままつ広告景観賞を受賞しています。昔からの建物を壊さず、そのまま使っていることを評価して頂けました。古いものを大切に使っていますので、評価して頂けた事は嬉しいです。また、庭もあるので、来られる際には醤油だけでなく建物や庭も楽しんで頂きたいと思います。
お客様と直接関わることで見えた新たな道
今野末さんが取り組んでいることはありますか?
工場見学を開催し、お客様に醤油について知ってもらう活動をしています。スーパーなどに行けば、価格と見た目しか醤油を選ぶ材料はありません。実際に、うちがこだわっている諸味作りの工程から見学して頂き、安心して醤油を選んで頂きたいと思います。
また、会場を借りて、醤油のワークショップを開催しています。そこでは、10種類の醤油やソースを使ってせんべいを焼くという試みをしました。次は、団子をお醤油で食べるワークショップの開催を検討しています。
面白い取り組みをたくさんされていますね。工場見学やワークショップを始めて何か変わった事はありますか?
実は、学ぶことがたくさんありました。うちは、業務用に販売している醤油が多く、スーパーなどで販売してるものはまだ多くありません。工場見学を始めて、少ししょっぱいという意見を頂きました。それまではあまり意識していませんでしたが、業務用と家庭用では、使い方や求められる塩分などが違うということに気がつきました。今は、醤油を改良して、できるだけしょっぱくない醤油作りを目指しています。また、商品の種類は元々多くありませんでしたが、近いうちにラインナップを増やせるところまできています。
伝統を守るだけではない。新たな挑戦。
新しい取り組みとして、みそ作りも始めたんですよね?
はい、そうなんです。みそ作りは、私が中心としてやっています。みそを製造販売するだけでなく、原材料持ち込みのお客様にも対応しています。毎年リピートしてくれるお客様がいると、やっぱり嬉しいですね。やりがいを感じます。みそ以外には、戦後作り始めたソース。明治醤油屋という名前を知ってもらいたくて売り始めたアイスがあります。アイスは当社の味噌を使った味噌味、浜納豆が入った醤油味があります。夏限定ですが、おいしいですよ!
野末将平さんのパワーの源
睡眠
大変なことがあっても、睡眠をとれば次の日には新しい気持ちでがんばれます!
お客様の笑顔
お客さんに美味しいと言ってもらえたり、また買いにきてくれた時はやりがいを感じます。
友人と飲みに行く
友人や仕事仲間と飲みに行ってリフレッシュしています。
明治屋醤油インフォメーションはこちら
- 住所:静岡県浜松市浜北区小松2276
- 営業時間:平日10:00~18:00, 土曜 10:00~16:30
- Tel:053-586-2053
- HP:http://meijiyashouyu.com
インタビューを終えて
100年続くという醤油屋とあって、緊張しながらインタビューに向かいましたが、とても親しみやすく醤油について熱く語って頂きました。インタビュー後、工場見学の方々が来られ、工場を見学してきましたがみなさん終始笑顔で楽しんでいました。野末さんの打ち解けやすい人間性が、多くの人を引きつけているのではないかと感じた瞬間です。今後も、伝統を大切にしながらも新しいことに挑戦していく明治屋醤油さんに注目です。