道端の草花に見とれたり、夕陽に感激したり…、「色を感じる心」を大切に。
色彩心理診断士として、また、NPO法人「色彩心理診断士協会COMPAS」の理事長として、多彩な活動をされている栗山 恵さん。色が持つパワーや虹の七色にまつわる色彩心理についてお聞きしました。さあ、今の気分は何色ですか?
取材日2016年4月23日
PROFILE
静岡県磐田市生まれ、磐田市在住。一級建築士事務所「アトリエWALK」代表。色彩を活用し、心のサポートを行う建築設計を手掛ける。同時に、色彩心理診断士協会COMPASの代表理事として、色彩心理診断士の育成と色彩を活用した子育て支援、介護福祉分野の心のサポートを行う。
あまり頭で考えず、直感や気持ちを大切に。
色彩心理学とは?色が持つパワー、色と心の関係について教えてください。
実は、色彩心理学は学問ではありません。色彩は見る人によって感じ方が変わったり、時代によって色の持つイメージが変わったりします。そのように変化するものは、学問として確立しにくいというのが理由のようです。 とはいえ、私たちは色とりどりの色彩を見るとワクワクしたり、一定の色を見ると気分が変化したりします。私たちが色を見るとき、光源(光)と物体(もの)と視覚(眼)があって初めて、色が確認できます。その情報は視覚神経を通って脳にたどり着き、脳が色の認知を行います。このとき、視覚神経は脳の中の一番奥の大脳辺縁系とよばれるエリアまで到達しますが、この大脳辺縁系という部分は自律神経や快不快、情緒などをつかさどっています。それゆえ色を見ることによって、身体が変化するといわれています。
色彩心理学を毎日の生活に上手に取り込むにコツはありますか?
よく尋ねられますが「あまり頭で考えず、直感や気持ちを大切にすることです」とお答えしています。道端の草花に見とれたり、夕陽に感激したり、蛍の光に儚さを感じたり…色を感じる心を大切にすることかと思います。
虹の七色で今の気持ちを診断!
虹の七色=赤・橙・黄・緑・青・藍・紫について、各色の色彩心理について教えてください。
●「赤」を選んだ人は?
赤が引き出す感情は、情熱や愛情、欲望や怒り、激情など幅広い意味に捉えられます。気持ちと身体を一体化する性質も持ちますので、赤を用いることでモチベーションを上げる、やる気にさせる、戦闘意欲、好奇心や気力、勇気を高めるなどの効果が挙げられます。血圧を上げる効果や体温を上げる効果があるので、気持ちが高ぶっているとき、プレッシャーを感じているときは逆効果になります。
●「橙」を選んだ人は?
オレンジは活発で陽気、外交的で開放的な意味を持ちます。赤同様、前向きに物事を捉える趣向があり、一緒にいると楽しく、和やかな雰囲気づくりが得意です。動き始める前、つまり、準備段階の時期を表現している場合があり、検討、岐路に立っている可能性もあります。前向きな自立期間ですので、変化や思い切った改善をしたいと感じている方、不退転の決意で前に進もうとしている方も、オレンジを選ぶ確立が高くなります。
●「黄」を選んだ人は?
黄色は彩度明度ともに高く、一番目立つ色です。信号機にもあるように、注意を喚起する色として用いられます。集中力、素早い判断、機転の良さ、会話力やコミュニケーション能力を意味しています。子どもらしさ、目立ちたがり、新しいものが好きな傾向や希望を表現してくれたりします。マイナス面としては軽率、ごまかし、皮肉、移り気などの意味を表すことがあります。
●「緑」を選んだ人は?
緑は巾の広い色で、黄色に近い緑から深緑までで意味が大きく異なります。ここで載せている緑は、調和、平和、中立、穏やか、新鮮、成長、豊かさなどを意味することが多く、マイナス面としては、優柔不断、疑いや頑固さ、他人に対しやや批判的な側面を持つという意味を持っています。心はどんどん変化します。選んだ色がその方の性格を表現しているわけではありません。
●「青」を選んだ人は?
青は真実の色と言われています。勤勉で真面目、高い志を持っていることを表現しています。神経を落ち着かせたり、集中力を必要としているときに青いものを身に着けたり、周囲に置くことで沈静、集中効果が期待できます。冷静で理性的な心の状態のときに選ばれやすい色で、逆にその様な願望を持っているときも選ぶことがあります。勤勉で内省的な色でもあります。物思いにふけったり、自分の過去を振り返る必要があるときは、青から紺にかけての色が役立ちます。
●「藍」を選んだ人は?
藍は青をさらに深くした色です。日本人が一番好む色がこの藍色だといわれています。基本的には「青」と同じ意味を持ちますが、より青の意味が強調されることになります。ですから、青よりもより沈静を意味し、深く集中でき、忍耐や我慢強さを意味する色でもあります。
●「紫」を選んだ人は?
紫は赤と青を混ぜてできる色であり、極めて神秘的でスピリチュアルな色とされています。情熱の赤と冷静沈着な青の両方の要素を併せ持つので、独特で不思議な感性や感覚を持っています。精神と感情の調和を表す一方で、相反する両極の意味から不安定を意味することもあります。昔は紫色を作ることが困難で高貴な王族や僧侶のみが身に着ける色であったことから、優位性を必要としているときや信仰心のあるときに選ばれやすい色です。
食べ物は赤いものを。ブルーは体感温度を下げる効果も。
これから夏本番に向けて、味方につけるとよい色はありますか?
例えば…「夏バテ防止に」「ダイエットに」「新しい出会い(恋愛)に」などなど。
5~7月は、陰陽五行説では赤(朱)色がこの月の色になります。食べ物は赤いもの、例えば、トマトやスイカなどをとることで、体を冷やす効果があるといわれています。暑い夏を乗り切るためには体調もそうですが、室内を快適な状態に整えることも必要になります。そういう意味では、ブルーなどの寒色を中心にした色を配置していただくことで、見た目にも涼しく、そこに風鈴などの涼やかな音を加えることで、体感は2℃から3℃下がるとも言われています。
ダイエットは脂肪燃焼の意味では、やはり赤を中心とした色は効果が高いです。新しい出会いに関しては、人により異なると思われますので、一概に言えないかと思います(笑)。
自分の気持ちを言葉で表現できない方の、心の状態を把握してサポート。
色彩心理診断士とはどんなお仕事ですか?栗山さんの活動内容について教えてください。
色彩心理診断士は国家資格などではないため、明確な仕事内容が統一されているわけではありません。私たちNPO法人色彩心理診断士協会COMPASでは、所定の講座を受講し、色彩と心理の関係を学び、色彩から心をくみ取り、相手に寄り添うことができる方を色彩心理診断士として任命しています。そして、自分の気持ちを言葉で表現できない方(子ども、悩みや迷いを持った方)に対して、塗った色、選んだ色から、その方の心の状態を把握して、その方が必要としているサポートにかかわることが仕事です。
私は主に、保育園や幼稚園、小中学校で色彩にまつわる講師をしたり、保育園や幼稚園で子どもたちと保育士・教師をつなぐ役目をしたり、介護施設での利用者さんやスタッフの心のケアに関わったり、色彩を活用した企業研修を行ったりしています。
海外でも「カラーさぷり」がお役に立てるか、
トライしてみたい!
今後の夢についてお聞かせください。
私個人としては『笑顔があふれる家族を増やすよ!』プロジェクトを推進中ですので、色彩心理「カラーさぷり」を使って、一人でも多くのご家族がお互いを理解しあい、家族の絆を深めていただくお手伝いをしていくこと。そして、海外でも塗り絵を使った色彩心理診断「カラーさぷり」がお役に立てるか…トライしてみたいですね。
COMPASとしては、家族の絆を応援しながら、静岡県の不登校児童生徒をゼロにする!というビジョンを立てています。全国ワースト13位の小中学校の不登校児童生徒を有する静岡県の汚名を返上できるように、他のNPOの皆さまや行政、企業の皆さまと協力していきたいです
栗山恵さんのパワーの源
睡眠
睡眠をしっかりとり、明日へのエネルギーを充電します。
人のお役にたつこと
人のお役に立つことが、私自身のパワーにもつながります。
家族の輪
家族の和が保たれているからこそ、日々の充足感が得られます。
一級建築士事務所 アトリエWALK のインフォメーションはこちらから
- 住所:磐田市向笠西719-25 / 磐田市二之宮1368-1祇園殿ハイツ1-1
- 営業時間:9:00~18:00
- Tel:090-3309-4294
- HP: http://www.atelier-walk.com/
インタビューを終えて
女性一級建築士として、住む人の心のケや色彩心理までを考慮した家づくりを提案している栗山恵さん。インタビューしているうちにたまらず、私自身も診断してもらっちゃいました。好きな色は「赤」なのですが、そのとき魅かれて手にした色は「ピンク」。自分の心の状態を分析してもらい、何だか妙に納得して、どこかで安心したりして…。心がモヤモヤしたときは、ぜひまたよろしくお願いします!ありがとうございました!!