商店街を守る粋な集まり。
清水・地元を元気にしたい！

原点は商店街にあった実家の惣菜屋。

いきなりですが、経歴に驚きました!

そうですね。自分でもそう思います（笑）。でも、この経歴、結構使えるんですよ。初対面の人でも、この複雑な経歴を話すとすぐに打ち解けて仲良くなれますね。「この人に、何があったんだろう」って興味を持ってもらえるんですかね。

僕の実家は商店街の中にあって、以前は両親が惣菜屋を営んでいました。今は店を閉じてしまいましたけど･･･。だから僕は、生まれたときから食品に囲まれて育ったんです。自然と食品に興味を持ったというか、運命というか、使命というか･･･。食品に拘り続けてきたのは、いつも店に並んでいる惣菜を目にしていたからだと思います。

大学院では食品栄養科学博士を取得されているんですね。

はい。大学卒業後にスーパーに就職して、3年間ひたすら惣菜を作っていました。毎日惣菜と向き合っているうちに、また食品栄養学への思いが強くなって、大学に戻りました。大学ですばらしい先生の影響を受け、博士取得を目指したんです。

好きな仲間と好きな場所で同じ目標を持ち、それを達成するプロセスを楽しむ。

本業を持ちながら、地域活性化のイベント運営は大変ではないですか？

全然大変じゃないですよ!　いつもの仲間と秘密基地で会うだけです（笑）。

みなとまちバルの実行委員は、当日のボランティアスタッフを含めて20人ぐらいいるのですが、実はみんな飲み友達です。年齢は20代後半から70代のおじいちゃんまで、商店街の中にある秘密基地に集まって（秘密基地なので、場所は内緒です）、作戦を練っています。清水みなとまちバルは「はしご酒」を楽しんでもらうイベントなので、先日みんなで実際に「はしご」してみたんですよ。5～6軒は普通に行けちゃいますよ。

前回開催されたみなとまちバルは、エスパルスドリームプラザまで店舗を広げたそうなのですが、今回は「はしご」しやすいように範囲を限定しました。僕も含めて、実行委員のほとんどが運営初心者なので、いろいろ意見を出し合いながら進めています。生まれ育った商店街に新たなコミュニティが生まれ、仲間と一緒に目標に向かって取り組めることは、幸せなことだと感謝しています。

経歴からもお分かりになるかと思いますが、仕事で活かせるようなスキルアップのために勉強したりすることは苦になりません。それに、仕事とは全く関係のない活動であってもそこには意義があって、人との出会いであったり、業種の違う人たちからの刺激だったり、自分に必要なものがたくさん身についています。僕にとって本業も地域活性化のイベント運営も大事な仕事です。

清水はコンパクトシティですから、「そういえば、最近あの人見かけないけどどうしてる？」という会話ひとつも、僕らの商店街には必要なコミュニケーションなので大切にしています。

想いを紡ぐ人たちから学ぶこと。

清水みなとまちバル実行委員長という一歩を踏み出したきっかけは？

おまちバルの客として参加したり、昨年、清水区草薙で開催されたイベント「シリコンバレー　in　KUSANAGI　日本初上陸カリフォルニアクラフトビール」の運営者が集う打ち上げに参加させていただいたりしているうちに、運営している方々の熱い想いに刺激を受けました。清水のおまちバルは4.5年開催されていませんでしたから、「誰かがやらなきゃ！シャッター商店街にはしたくない」と地元愛がメラメラと燃え上がり、立候補に至りました。

静岡には自分と同じように地元愛に溢れた人がいっぱいいて、すでに行動を起している人たちから学ぶことは多いです。僕が持っている飲み屋ネットワーク（まだ10軒程度ですが･･･）から、イベント成功の秘訣や失敗談などを収集するのも実行委員長として重要な仕事だと思っています。

今回、清水みなとまちバルのおみやげバル開催日時を、商店街から徒歩圏内の清水マリンパークで行われている「シズオカ×カンヌウィーク2018」の最終日に合わせました。カンヌウィーク実行委員の方と話していて、「人が行き交うイベントにしよう！」となりました。とてもありがたいです。普通はお客さんの取り合いになるじゃないですか。人の心をつなぐ仕事だと改めて学びました。

運営にあたって、困っていること悩んでいることはありますか？

ないです！
清水商店街に行けば、常に誰か居て耳を傾けてくれますから、何かあってもすぐに解決します。週3日は商店街のお店で飲んでいますよ。実行委員に留まらず、自分の背中を押してくれる人たちが静岡にはたくさんいるので、安心していろいろなことに挑戦できます。

イベントが成功する商店街

平日は静かな商店街ですが、イベントとなると一変しますよね？

そうなんですよ！あまりご存知ないかもしれませんが、実はすごいイベントをたくさんやっています。商店街は3つに分かれていて、JR清水駅に続く商店街を清水駅前銀座、駅前銀座を抜け踏み切りから続く商店街を清水銀座、そして清水駅前銀座と清水銀座の間の通りを清水中央銀座と言います。「清水七夕まつり」はこの3つの通りで行われ、毎年大変賑わいます。清水駅前銀座で開催される「富士山コスプレ世界大会」というイベントは、1,500人近いコスプレイヤーが集結して、トークショーや撮影会などをやるのですが、あっという間に商店街が異次元空間なります。お店の人たちもそれぞれにコスプレを楽しんだりして、これまで5回開催されていますが回を重ねるごとに盛り上がりを見せています。清水駅前銀座と言えば、「コスプレの聖地」とも言われ、3万人以上の人がこの商店街に来てくれるんです。すごいでしょ！あと、「鉄火巻日本一」にも挑戦しました。どれも大成功です!!

普段は静かというか、閑散としている商店街ですが、イベントとなると「みんな、今までどこに行っていたの？」っていうくらい人が集まるんです。実は、清水の人はみんなお祭り好きで、何かやっていると顔を出したくなるんですよね。だから、この商店街をもっともっと皆さんに利用して欲しいと思っています。来る人もここで待つ人も、両者がハッピーになれるようにこれからも新しいことを始めたいですね。

商店街の魅力をどうぞ！

アピールタイムですね！ 商店街の人たちはとにかく温かいです。店主もおもしろい人がたくさんいます。とてもレトロな路地やお店、小さな公園もあるんですよ。ももクロ（ももいろクローバーZ）が来たときに書いてくれたサインパネルも飾ってあります。いろいろ探索してみてくださいね。少し遠くへ行きたい方には、清水駅前銀座にレンタル自転車が用意されていますのでご利用ください。ぜひ、商店街を皆さんの“庭”にしていただいて、僕たちの飲み仲間になってください!!

楽しいと思える方向に動く。

次のミッションは？

バルに関しては、今回のイベントを成功させて定期的に開催することが目標です。今回はタダのハシゴ酒イベントになってしまうかもしれませんが、次回以降は参加者が楽しめる催し物（抽選会やライブイベント）をバル開催中に入れていければと思います。

個人的には以前から興味があった気象予報士の試験に挑戦しています。難しい試験ですが、さまざまな資格試験を受けているうちに挑戦しようという気持ちが芽生えました。自分で天気を予想できたら、毎日が楽しくなりませんか？

これまで、多くの方と交流を重ねて来たことで、自らの発見にも繋がりました。そこで、いろいろな資格を取りたい人と既に取得した人との“交流の場”を作れないかと考えています。交流の場ではたくさんの選択肢があることをリアルに学ぶことができます。異なるバックグラウンドを持った人たちが、それぞれのスキルや経験を生かし、自分オリジナルのキャリアを築くきっかけ作りをしたいです。

※今回取材にご協力いただいたお店

【café　MAP　ROOM】
住所：静岡県静岡市清水区辻１丁目３−１
電話：054-368-7343
営業時間：18:00～24:00
定休日：月曜日

商店街の中にある「café　MAP　ROOM」さんをお借りして、取材をさせていただきました。山梨さんがいつも通う馴染みのお店は、おしゃべりが弾みそうなカウンターとゆっくりくつろげるソファがあり、居心地抜群！