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「しもあおベース」代表 山内 稔之さん

自宅の畑を子どもの遊び場「しもあおベース」に造成!
やがて多世代が交流できる憩いの場にしたい

藤枝市立青島小学校に通う児童達が登校時に集合場所としている自宅の畑を改築し、スポーツなどを楽しめる広場「しもあおベース」を造成。資金の不足分をクラウドファンディングによって調達し、防球ネットや人工芝などを施しました。今では様々な年代の子ども達がここでスポーツや遊びに興じています。管理人としての今後の展望を、サッカー指導者でもある山内さんに伺いました。

取材日2017年2月26日

山内 稔之さん

PROFILE

藤枝市生まれ、在住。小学生でサッカーを始め、社会人になってからは協会公認のコーチング・スタッフとして、小中学生や女子サッカーチームの指導にあたってきた。自身も「藤枝東FCシニア」の現役プレーヤー。Facebookでは「シニアサッカーの輪」、および「女子サッカーチームなでしこ交流」それぞれのグループ管理人も務める。自宅に隣接する実家畑の一部を埋めて、子ども遊び基地「しもあおベース」として開放している。

登校集合場所を子ども達のふれあいの場に

驚きました。本当に、家の目の前なのですね。しかも、ごく自然に学生や児童と会話されていて、彼らも当たり前のように敷地に入ってくるし。いつもこんな感じですか?

ええ。登校時と下校時、中学生と小学生が一緒になって遊んでいますよ。私が知っている子もいれば、友達の友達とかも一緒に来るので知らない子もいる。サッカーゴールにバスケットゴール、倉庫小屋には子ども用の野球用具やバドミントンのラケットなんかもあって、自由に使わせています。

自分がサッカーが好きな事から、人工芝にゴールがあるんでミニサッカー場みたいなイメージがあるかもしれませんが、子ども達は好きな事で色々遊んでます。小さい子達は自転車乗り回してますからね笑。

改めて、このスペースを作ろうと思った訳をお聞かせください。

最初はそんなに、たいした目的があったわけではなかったんです。元々ここには親の畑があって、その脇が近所の小学生達の登校集合場所になっていました。いつもみんな何となく待ってるだけなんで、ボール遊びでもやったら楽しいのになぁ、と思ってました。

丁度畑を小さくする事になり、その一部を平らに埋めて開放しました。試しにサッカーボールを置いてみたら、子ども達が朝からボールを蹴って遊ぶようになって。そのうちに、登校時だけではなく放課後まで集まるようになったのです。できるだけのびのび遊べるようにと徐々にそのスペースを広くしていきました。でもこの辺りは住宅地だし道路も近いので、次第に「ああ、こりゃ危ないな」と。子ども達も広くなればなるほどボールを強く高く蹴る始末ですし。大きな石もゴロゴロしてたので転べば血だらけだし笑。防球ネットを張って整地もしないとなぁ、と、その為には、ある程度まとまった資金が必要になりました。そこで、クラウドファンディングを頼ったのです。

「オトナ不介入」の空間で子どもの感性を育てる

クラウドファンディングのサイトを見ると、約1ヶ月で60万円ほどの資金を集めていらっしゃいました。

SNS等での反響も凄くあって、サッカー関連で私とつながりのある多くの方々にも支援していただきました。もちろんそれ以外の方にも。おかげで子ども達にとっての貴重な遊び場ができ、皆さんにはとても感謝しています。

こうして小中学生が入り乱れて遊んでいる様子は、何かとても不思議なものを見ている気分です。現代ではあまり見ない光景というか……。

基本的にこの場所はオトナ不介入なんです笑。私も特になにも言わないし、本当に子どもだけの世界ですね。

ただ少しアドバイスはしたりします。野球グローブを右手にはめるとか、バットを逆手に持つとかは思わず笑。でもそんな事も多学年で遊んでるし、色々なスポーツやってたり得意な子達がいるので、上手い上級生とかが下級生に教えたりしてるんです。
下級生は上手で恰好イイ上級生のやり方をよーく見てますよ。それをマネして上手くなるんです。だから大人は要りません笑。

あと、多少後付けのメリットになりますが、朝の運動は脳の活性化や心の発達に良い効果をもたらします。色々なスポーツを楽しむ事は運動能力の向上にもつながるし、健康のためにもいい。イジメに加担したり暴力に頼ったりしない、イキイキとした豊かな人間性。しもあおベースを通して、そういったものを育んでいけたらいいな、と思っています。

今後の展望は「多世代で交流できる町内総合型あそびクラブ」

しもあおベースは、子どもが自分達で思いやりやルールなどを自然と学べる場所、ということですね。

はい。大人があれこれ言わなくても、環境を与えてあげるだけで、子ども達の可能性は広がっていきます。町内にもふれあい広場はありますが、子ども達がワイワイ遊んでる姿はあまり見かけませんね。どうしてでしょうか?現代ではスマートフォンもあり、家でできる遊びも多くなっていますが、本当はみんなで楽しく遊びたいし、いろんな友達と仲良くなりたいじゃないのでしょうか?それが証拠に、しもあおベースにはこうして毎日誰かしらが集まってくるし、知らない子同士が学年も関係なく遊んでいる笑。

しもあおベースは、とりあえずはこれで完成?

うーん。見てわかるとおり、今ここにいるのは男の子ばかりでしょ。女の子達も時々来ますが少ないですね。幼稚園位の子だと女の子が多いかもですが笑。もっと女の子達もここで気兼ねなく遊べるように、もう少しスペースを拡げようかと。それから先ほど「オトナ不介入」とは言いましたが、高齢者の方やご婦人達も集える場所にしたいと思っています。何もスポーツに限らず、例えば将棋とか、あるいは餅つきのような文化的なことでもいいし、女性ならお茶会やダンスとかで使ってもらえればイイかなと。あとは、おじいちゃんおばあちゃん達と子ども達が一緒にグランドゴルフやったり、親子でインディアカとかの軽スポーツやったりとか世代や性別を問わず、町内の人が交流を深められる「町内総合型あそびクラブ」にするのが目標です。

文部科学省が推進認定する「地域総合型スポーツクラブ」というのはありますが「しもあおベース」は日本初かつ非公認の「町内総合型スポーツクラブ」を目指しますよ笑。

いろいろな夢を語ってくださった山内さんに、最後にこんな質問をしてみました。

山内さんにとって“挑戦”とは何ですか?

仕事にもあそびにも手を抜かない、山内さんらしい深い言葉ですね。世代を越えて、ここからたくさんの「あそび」が生まれ、地域の憩いも場所になること間違いなしですね。

インタビューを終えて

取材で伺ったのは2月、平日の15:00。まず帰りの早い中学3年生が訪れ、小屋からボールを取り出し、蹴り始めました。バスケットに興じてる子達もいます。そのうちに小学生が何人もやってきましたが、聞けば6年生に1年生や低学年も混じっているとのこと。大人であればたいした年の差ではありませんが、子どもの場合、これだけ様々な年代の子が一緒に遊ぶというのも珍しい気がします。管理社会と言われる現代ではなかなか見られない光景がどこか微笑ましく、懐かしくもありました。

しもあおベースのインフォメーション

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