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ツンデレな地酒!?「萌え」な地酒娘が集う注目の酒屋が静岡にあった!

静岡で『萌酒』を販売している「鈴木酒店」。昭和元年から90年以上続く老舗の酒屋3代目店主の鈴木誠さんに、『萌酒』へのこだわりやおすすめの地酒、美味しい飲み方を伺って来ました。

取材日2016年7月21日

PROFILE

静岡県駿河区出身。8年前に家業の酒屋を継ぎ、地酒の勉強を続けながらお店を経営している3代目店主。30年以上アニメやゲームが好きなオタクでもあり、自身の好きなアニメソング、ゲームソングを使用して地元のオタク向けイベントの「DJ」を担当することも。地域のボランティア活動として「消防団」に所属し、火災や防災の活動に積極的に参加をしている。

地元の人に静岡の地酒の魅力を知って欲しい。

鈴木酒店ではどのような活動をされていますか?

当店は店内や外装にアニメキャラのパネルやグッズがあったりして、独特な空気があるかもしれませんが・・・まずは普通に酒屋の仕事をしています(笑)。

その中で「静岡の地酒(日本酒)」の美味しさを地元の多く方に知ってもらえたらと思い、地酒の普及、販売に力を注いでいます。静岡の地酒は本当に美味しくて、都道府県別のランキングでも上位3位に入るほど評価の高い地酒が揃っています。ですが地元なのに知らない人が多くて…。
そこで自分の趣味と仕事をミックスするような形で、当店独自の『萌酒(もえしゅ)』というオリジナル商品を作りました。
これはお酒のラベルに「美少女・萌えキャラ」を使ったもので、中身のお酒の味わいや酒蔵、地域等からイメージを膨らませて私がキャラクター設定をし、それをイラストレーターさんに具現化してもらいラベルとしてお酒に貼って販売しています。

『萌酒』以外にも地ビールや、みりん・味噌・ソースといった調味料など、私がセレクトした、こだわりの逸品を取り扱っています。また、『裏鈴木酒店』と言って、静岡の地酒飲み比べ会を開いたり、毎年秋葉原で開催される萌酒の祭典『萌酒サミット』に出店し、県外の方にもPRしています。 あとは、活動していることを広めるために、Twitterやブログ等のSNSにて仕入れたお酒やイベント情報を紹介していて、たくさんの方に見てもらっています。

今年開催された『萌酒サミット2016』

『萌酒』を始めたいきさつを教えてください。

実は、30年ガチのオタクです!(笑)

8年くらい前に東北のお米「あきたこまち」のパッケージが美少女キャラになったことを皮切りに東北で美少女キャラのラベルやパッケージが増えていきました。私自身30年以上アニメやゲームが好きなオタクとして、完全に火がつきましたね。でも、萌酒を作るにあたって酒蔵さんとの交渉など難しい面もあり、最初は『静岡おでん』の萌えキャラ商品を作りました。自分で企画から全て考えてとても大変でしたが、商品化できたことが一つの自信になりました。

既に世の中にはこういった萌えキャラ商品がそこそこ出てましたので、2番煎じに見られてしまう不安もありましたが、自分のこだわりを大切にオタクが商品を見て、くすっと笑ってしまうネタやツボを盛り込みました。「キャラクターのラベルで購入したけど、実際飲んでみたらめちゃめちゃ美味しかった!」と静岡の地酒の良さを知ってもらうきっかけになって欲しいと思い、私自身が選んだおすすめの地酒を使用した『萌酒』シリーズを始めました。

先程お話にもあった『裏鈴木酒店』はどんな活動ですか?

月に1,2回不定期で店舗裏の座敷部屋でお酒(地酒)の会をやっています。毎回20人以上集いその都度地酒のテーマを決めて開催します。今回はこの酒蔵さんのお酒を揃えようとか、夏向けのお酒を集めてみるなど私が県内の地酒を選びます。
静岡県内は広く、東・中・西それぞれの地域によってお酒の味が異なり、しかもレベルの高い美味しいお酒が揃っているので県内の地酒重視で、付き合いのある酒蔵さんにご協力して頂いています。『裏鈴木酒店』も『萌酒』と同じく、多くの人が静岡の地酒と出会えるきっかけになっています。

大切なのは信頼関係を築くこと。
お客様を待つ受け身から積極的にアピールする酒屋へ!

活動をしていく上で苦労したことはどんなことでしたか?

昨今、酒業界で問題となっているのが、長い間「日本酒消費量」が右肩下がりなこと。和食が注目され、一部で日本酒はオシャレな飲み物として取り上げられることもありますが、地域にある小さな酒蔵が造った地酒(日本酒)を手に取ってもらうのはなかなか大変です。
安価なビールに流れる、アルコールを飲まない、お酒を知らない若者が増えていることも右肩下がりの理由だと思います。

そこで、若者やアニメ等が好きなオタク層に美味しい地酒を知ってもらうことを目的に、地酒と萌とのコラボを思いつきました。ですがそこには、酒蔵さんのご理解、ご協力が必要不可欠です。

現在、県内9蔵の酒蔵さんにご協力して頂き『萌酒』の企画・販売をしています。酒蔵さんの中には、萌えキャラクターがブランドイメージと合わないという理由でお断りを頂いたところもありました。また、静岡は小さい規模の酒蔵さんが多いため、お願いしてもこちらに回せるお酒がない等取引をする中でも難しい部分があります。そのために、私自身お酒のイベントに足を運び地元の酒蔵さんと何度も顔合わせをして、信頼関係を築いていくことを積極的に始めました。そういったイベントへ参加することで新しいお客様とも知り合っていけます。今の時代お店に籠ってお客様を待つ受け身の体制ではなく、お店の外に出て積極的なアピールを始めたり、情報を得ることが必要だと思います。

どんなことを大切にして作られていますか?

お酒の味わいとキャラクターの雰囲気を合わせるように気を付けています。例えば、静岡一番の辛口のお酒には、ちょっと癖のある“中二病”キャラを、辛口だけど香りが甘い吟醸のお酒にはツンデレ系キャラにするなど全7種の『萌酒』を扱っています。酒屋でここまで展開しているのは全国的に見ても殆どいません。しかも『萌酒』キャラクターのグッズまで作り始めて、酒屋なのに酒以外の物が多くなりました…(笑)

そして、萌酒やグッズを持ってオタク向けのイベントに参加したり、SNSで『萌酒』の情報を発信していった結果、お店のことを見つけてくれた新規の若い世代のお客様も増えてきました。中には県外から買いに来てくれる方もいます。今、酒屋自体が減っている中で、うちのお店に興味を持って足を運んでもらえるのは嬉しいです。

鈴木さんおすすめの地酒を教えてください。

中部地区の地酒はすっきり爽やかでさらっと飲みやすいのでおすすめです。駿河湾や由比港等、静岡は漁港が盛んで港の海産物が多いことから魚の味を邪魔しない“淡麗”なお酒が人気です。その最たるは焼津にある酒蔵『磯自慢』さん。日本一になって全然手に入らないですけどね。

『萌酒』の中にも中部地区のお酒“桜野沢ゆい”があります。清水区由比港のある由比の酒蔵『英君酒造』さんのお酒で、私が最初に作った『萌酒』です。静岡の風土にぴったりのすっきり爽やかな味で、初めて『萌酒』を購入する方にお勧めしています。

静岡萌酒奇譚『桜野沢ゆい』

地元から全国へ、静岡の地酒を好きな人が増えてほしい。

今後の展望について教えてください。

まずはこの酒屋を続けていくことが大切だと思っています。そして静岡のおいしいお酒をより多くの人に知ってもらえるように、今やっていることを地道に継続していきたいと思います。地元という限定された地域だけではなく、広く全国に「こういう酒屋が静岡にある」ということを発信していきます。

私がプロデュースしている萌酒のシリーズも、新キャラや新ラベルを考えながら長く可愛がっていけたらと思っています。

鈴木 誠さんのパワーの源



  • 楽しい友達と素敵なお客様。



  • 美味しい食べ物と美味しいお酒があること。


  • 趣味
    オタクであることを楽しむこと。

インタビューを終えて

酒屋として、オタクとして様々な活動されている鈴木さん。インタビュー中はとても真剣にお話しして頂きました。鈴木さんの地酒に対する熱い気持ち、『萌酒』への愛情が伝わってきました。
今の時代、酒屋としての未来を真剣に考え新しいことへ挑戦していく姿に、勇気を頂きました。今後どのようなことを始めていくのかワクワクしますね。「鈴木酒店」に注目です!

鈴木酒店のインフォメーションはこちらから

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