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理容業界を盛り上げたい。多くの人と繋がり、感動と喜びを!

全国組織として活動している理容生活衛生同業組合(以降 理容組合)。その静岡県青年部長として、小学校で理容師体験の実践や、献血活動、24時間TVへの協賛などの活動を静岡の理容師たちと行っているメンズオンリーサロンOOPS Hair(ウープスヘアー) オーナーの嶋田和佳さん。美容師ではなく“理容師”の仕事を多くの方に知ってもらいたい。その熱い想いを嶋田さんに伺いました。

取材日2016年7月14日

PROFILE

静岡県葵区の出身。床屋を経営していた父親の背中を見て理容師になることを決意。高校卒業後6年間の修行を経て、実家の床屋を継ぐ。 現在は「男性の癒しの空間」がコンセプトのメンズオンリーサロンを経営している。

熱い想いが人を動かす

理容組合としてどんな活動をされていますか?

“理容師”の仕事を色々な人に知ってもらうためには先ず、僕らの情熱とか熱意を伝えたいと思い、小学校で理容体験をしたり、ボランティア活動として献血活動や24時間TVへ協賛など、社会貢献活動に積極的に参加をしています。
最近の子どもたちは髪を切る時、お母さんの行きつけの美容院に行くことが多く、髪を切る仕事に“美容師”と“理容師”の2つがあることを知らない子がいるんです。悲しいですね・・・。そこで、理容師を知ってもらうために小学校で出前授業を始めました。
毎年9月の第2月曜日は全国理容連合会が定めた「理容ボランティアの日」になっていて、全国一斉に理容ボランティア活動を行っているんです。いろいろな施設に行って、散髪や顔剃りをしたり、献血活動などを行います。

活動をはじめるまでのいきさつは?

理容師として働き始めたころは、正直、組合には全く関心がありませんでした。でも、それでは何も始まらないと思ったんです。
10年前に僕が青年部長になった時から小学校の理容体験も献血活動も始めました。
理容師体験は子どもたちに理容師を知ってほしいという思いからでしたが、献血活動のボランティアを始めたきっかけは、身内で血液の病気を持っていた子が色々な人に助けてもらう姿を見たり、同じように病気と闘っている子どもたちと接したことでした。「自分が役立てることはないか」「少しでも恩返しがしたい」、そういう熱い想いに理容組合の仲間も賛同してくれて、活動をスタートしました。

小学校での理容体験、楽しそうですね。

そうですね。盛り上がります!自分たちの仕事を見せることよりも、子どもたちが体験することを一番大切にしています。
体育館にヘアーセットのブースや顔剃りが体験できるブースを用意し、プロの理容師に仕事を教わりながら子どもたち自身の手で体験できるようになっています。美容師と理容師の一番の違いは顔を剃れることなので、顔剃り体験は特に力を入れています。子どもたちも風船を相手に実際に刃物を持って顔剃りをするんです。割れちゃうこともありますけど、みんな楽しく体験してくれます。
その裏では、僕が子どもたちに内緒で男の先生と女の先生を変身させることもしました。先生たちは普段ジャージ姿で、それ以外の姿って子どもたちは知らないですよね。だからヘアーセットをして服装もオシャレに変身した先生たちが登場すると「おお~!!」って歓声をあげてすごく楽しそうにしてくれるんですよ。そして最後は一緒に給食を食べて、みんなでドッジボールをします。そこまでいくと子どもたちは理容師という仕事ではなくて“人”を見て好きになってくれるんです。自分たちの熱意が伝わって、理容師は人を喜ばせる楽しい仕事なんだ!って、子どもたちが思ってくれたら良いなと思います。そして、将来就きたい職業の選択肢の一つに考えてくれたら嬉しいです。この体験を受けた子が数年後、理容師になってくれたら活動してきて良かったって実感できると思います。

組合内での温度差

活動を始める上でどんなことが大変でしたか?

理容組合の中で温度差があることですね。
みんな、「業界を盛り上げていきたい」という気持ちは一緒なのですが、取り組み方がそれぞれ違っていて温度差ができてしまうんです。
例えばキッズの集客をしようと組合で決めても、お店のコンセプトに合わないと断る人もいれば、逆にそのノウハウを組合で教えて欲しい人もいます。
これが“温度差”です。
会社と違い組合の人たちは、1人1人が経営者ですから、個人が潤わないと意味がありません。しっかり経営が成り立つ仕組みを作らないといけないので、温度差があって当然なんです。
人が集まることで、「こういう方向性でやりたい!」と声があがり、同じ想いの人が「やってみたい!」と賛同します。現在の活動以外にも、いろいろなことを始めていけるようにしたいと考えています。ただ、今の組合組織は規約も厳しく難しいところがあるので、そこも変えていかなければいけない課題の一つです。ボランティア活動など1人ではできないことが、組合という組織があることで多くに人に発信できるので、もっと組合の人たちといろいろやってみたいと思っています。
昨年は、全国理容生活衛生同業組合の代表を務めました。そこでは各県の組合からたくさんの情報を得ることができました。奈良県の組合は、地元近畿大学とタイアップして約400社の人事担当者から集めた面接好印象型データを作り、それを10の業界別にまとめ、「就活ヘア」を提供したんです。近畿大学生の80%が美容院を利用する中、理容室から提供される「きちっとした髪型」は大変反響があったそうです。おもしろい企画だなと思いました。まさに、組合が同じ方向を向くことで生まれた発想だと思います。

異業種との新しい繋がりを!

今後具体的にはどんなことをしたいと考えていますか?

自店のサロンが儲かるような仕組みを色々な業界から学んでいきたいなと考えています。
その為に、もっと理容師の枠を超えた人たちと一緒に活動してみたいですね。
他県では、顔剃りの際に使うシェービングカップを備前焼で作ったり、農家の方とコラボしてイチゴのシャンプーを作っています。そういう異業種の人と繋がり、切磋琢磨して新しいことを始めていきたいです。

嶋田 和佳さんのパワーの源


  • 誰かと一緒にお酒を飲むこと
    お酒を飲んで仲間と腹を割って話せることや、行った先で新しい人と繋がりができることが楽しくて、休日は家よりも外に行きます。


  • 人を喜ばせる。人を感動させる。
    お客様は勿論、活動に関わってくれた人たちに喜んでもらえる、感動してもらえることが原動力です。


  • 人との繋がり
    新しい人との繋がりと、業界を盛り上げる為に必要な知識や技術を求めてセミナーなどによく参加しています。

インタビューを終えて

理容組合青年部長としての気持ちを聞かせて頂く中で、理容組合の人たちを想う嶋田さんの熱く優しい気持ちが伝わってきました。
理容師でありながら理容室という場所を超え、多くの人との繋がり、喜び、感動を求め、仲間と共に自ら飛び込んで行く姿。とても素敵です!そういう姿に、いろいろな方が惹かれているのではないかと思います。目標に向かって諦めず、新しいことに挑戦していく嶋田さんに勇気と感動を頂きました。ありがとうございました。
(取材中、ちゃっかり、スタッフも髪を切っていただきました(笑)。ありがとうございました!)

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