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2015年08月12日 特集

SPAC-ENFANTS(スパカンファン)・プロジェクトの新作ダンス『ANGELS』。言語を超えて繋がる世界を楽しめる場所。

静岡の中高生とともに新しい舞台を創造する、SPACによる国際共同製作プロジェクトSPAC-ENFANTS(スパカンファン)。フランスを拠点に国際的な活動を展開する振付家・ダンサーのメルラン・ニヤカム氏を迎えて2010年にスタートしました。今回は、オーディションで選ばれてスパカンファンに参加している高校生2名にインタビュー。その2回目をお伝えします。

スパカンファン・プロジェクト第2弾
『ANGELS』参加メンバー
永田 茉彩さん

2012年、スパカンファン・プロジェクト第1弾『タカセの夢』オーディションで選ばれ、 スパカンファン・プロジェクトに初参加。 今年3月、第2弾となる新作『ANGELS』 のオーディションにて再選出され、2期連続参加を果たしている。富士宮出身。中学校では吹奏楽部、高校では音楽部に所属。音楽が大好きな高校1年生。

SPAC-ENFANTS※(スパカンファン)は、オーディションで選ばれた静岡の中高生とともに新しい舞台を創造する、SPACによる国際共同製作プロジェクト。フランスを拠点に国際的な活動を展開する振付家・ダンサーのメルラン・ニヤカム氏を迎え、2010年にスタート。「世界中の子どもたちが未来への希望を取り戻すことができるダンス」をコンセプトに、芸術表現として世界に通用するクオリティーを持ったダンス作品を目指しています。
※ENFANTS=フランス語で「子どもたち」の意味

詳しい公演情報はこちら
http://spac.or.jp/angels_201508.html

メルラン・ニヤカム Merlin Nyakam
振付家、ダンサー、歌手、俳優、ラ・カルバス・カンパニー主宰(Compagnie La Calebasse)。
http://www.lacalebasse.org/
14歳でカメルーン国立バレエ団に入団。16歳で主席ダンサーとなる。1990年にラ・カルバス・カンパニーを立ち上げ、91年金の穂賞、最優秀ダンサー賞などを受賞。92年よりフランスに拠点を移し、フランスで絶大な人気を誇るモンタルヴォ・エルヴュ・カンパニーなどの作品に出演。振付家としても活躍し、代表作の『遊べ!はじめ人間』が「Shizuoka春の芸術祭2008」でも上演された。昨年、20年ぶりに母国カメルーンで『ダンシング・アフリカ』を創作し「ふじのくに野外芸術フェスタ2015」で上演、アフリカでのさらなる展開を模索している。10年よりSPAC-ENFANTSプロジェクトを手がける。
☆メルラン・ニヤカム氏インタビュー 2014.4.25

「好き」という気持ちがとても良い経験につながっている

もともと富士市の市民ミュージカルに参加していてその時の共演者で過去にSPACのオーディションを受けたことのある方がいて、その人に勧められました。

幼稚園の頃エアロビをやっていて、ゴリエ杯というチアダンスの大会では全国大会まで行きました。小さい頃から人前に立つのがすごく好きでした。そこから繋がっていってミュージカルにも興味を持って、ここにたどり着きました。

『タカセの夢』ではカメルーン公演もあり、普通では経験できないことを経験させてもらえました。
カメルーンでは言語が全く通じませんでしたが、ジェスチャーや表現力で現地の方とたくさん交流することができました。今年も5月の「ふじのくに野外芸術フェスタ2015」に、カメルーンからニヤカムさんのカンパニーがやってきて、また自分の世界が広がるというか、すごい経験をさせてもらっています。

踊りや表情で、表現することを学ぶ

言語が通じなくても踊りで表現するとか表情などでたくさんの人と関われることを学びました。

稽古では県内からいろんな子が参加するので、その中に自分の個性を主張できたりとか、逆に相手の個性を認め、「この子のこういう踊り方いいな」とか、たくさん自分も吸収できています。自分の良さも自信を持ってアピールできるようになりました。

これまではスパカンファンのメンバーの中では一番年下で、年上のお姉さんたちに頼っていた感じ。でも、だんだん振付家ニヤカムさんの踊りも少しずつわかってきて、今は年齢も上から2番目なので、そういう自覚も出てきました。踊りに関しても自分のものにしていきたいです。

8月の本公演に先駆けて清水マリンパークで公演

今年の5月、「ふじのくに野外芸術フェスタ2015」の中で新作ダンス作品『ANGELS』 の一部を、8月の本公演に先駆けて清水マリンパーク(静岡市清水区)で上演しました。
5月はまだ出来上がっていない段階でしたが、前回の『タカセの夢』との違いをとても感じました。

今回はいろいろな特技を持つメンバーが集まっていますが、それぞれの個性を活かせる作品になっていくのだろうと思います。5月の公演では前回とはまた違った楽しさを味わいました。

自分なりの目指す舞台 ―8月の公演に向けて

公演を観たお客さんが最後笑顔になるような舞台にしたいです。
また、お客さんたちがそれまで観ていた舞台とは違うジャンルだと思うので、驚きも感じてもらいたいです。そして、日常生活の中でも「また頑張ろう」など、これからに希望が持てるような前向きなメッセージを受け取ってほしいです。

振付アシスタントの木野彩子さんが語る、永田 茉彩さんの印象・プロジェクトへの想い

茉彩ちゃんはもともと歌が好き。今も高校で声楽を学んでいます。
このプロジェクトに参加してより一層歌や舞台に興味を持ってきて頑張って取り組んでいます。ニヤカムさんにも歌の才能を認められ、5月に清水で開催された野外芸術フェスタでもその歌声を披露しました。

8月の公演に向けては、楽器や歌など、プロジェクト参加メンバーの特技を少しずつ取り入れて、個性を活かして舞台を創り上げていけたらと考えています。
ニヤカムさんは、「歌もダンスも演技も全部ひっくるめて1つの作品」という考えをお持ちです。歌もかなり重視しているので、メンバー全員が歌えるように訓練を積んでいます。8月の公演にも確実に歌は取り入れられると思います。

中高生の身体はまだ発展途上。ニヤカムさんと出会うことでこれまでとは全く違う身体の動きが生まれてくるのでは!? というところからこのプロジェクトはスタートしました。
心身共に健康な子どもたちを育てる場をつくるという社会的メッセージをアートの力で届ける。 お客さんが舞台に参加したくなるようなものをニヤカムさんは持っています。
良い方向へ引っ張られていく。世の中が良い方向へ変わっていく。それも1つのアートの力だと思います。

編集部コメント

振付アシスタント兼通訳の木野さんの言葉をお借りするとまるで「ひまわり」のようなスパカンファンメンバーたち。
ニヤカムさんを目指して日々すくすくと成長中です。今回稽古の様子を拝見しましたが、とにかく明るい。暑い中でもみんなキラキラ輝いて、とっても良い表情で練習に励む姿が印象的でした。今回お二人にインタビューをさせていただきましたが、高校生2人がプロジェクトのことを真剣に考え、自分たちの役割を果たそうという意気込みを感じました。世間から耳に入るネガティヴな中高生の姿はここにはありません。見ている側が稽古に思わず参加したくなるようなパワーをメンバーの子どもたちは持っています。
仕掛けているのは、ニヤカムさんをはじめ、プロジェクトスタート時からの振付アシスタントである木野さんであったり、周りで支えているスタッフの方々であったり、みんなで子どもたちの魅力を引き出そうとしています。
子どもたちは敏感にそれをキャッチし、安心してこの場では個性をぶつけ合いながら切磋琢磨し、舞台を創り上げていくのですね。8月の「ワーク・イン・プログレス」(経過発表)、期待が高まります。より多くの方にスパカンファンの舞台をご覧いただき、アートの力を感じていただきたいと思います。