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2015年06月12日 特集

静岡の農業をもっともっと元気に!野菜を通じて感動を伝えたい。お客様の”美味しい!”と、仲間との絆にこだわる会社『すずなり』。

「オレ達のえだ豆」・「すい~とれたす」など、静岡のおいしい野菜を作り出荷している「すずなり」。
その「すずなり」のこだわりや、野菜作りへの情熱をインタビューしてきました。

株式会社鈴生 代表取締役社長 鈴木貴博さん

静岡~磐田の静岡県中西部を中心に農業を経営。本社直営・鈴木農園・㈱モスファームすずなりの3社と、県内外協力生産者グループからなる農業生産法人。
社名である「すずなり」には人も作物もすずなりに成長する会社にしたい、との思いが込められており、人づくり、土づくり、作物づくりを大切にしている会社。
「オレ達のえだ豆」「すい~とれたす」などが主力商品。

公式Webサイト:http://oretachinohatake.com/

「おいしさを求めて」-すべての野菜作りはこの言葉を合言葉に

”おいしさを求めて”、これがうちの社訓です。食べてくれる人のことを思って手を抜かず、一生懸命に作ること。それこそがすずなりという会社なんです。

買っていただく方から注文を受けてから種を蒔き、苗を育て、出荷していくんです。
買っていただく方の笑顔を思い浮かべ、心を込めて、気持ちを込めて、野菜を作る。そして、ベストなタイミングで収穫し、鮮度を保ったままお客様のところにお届けする。

作り手の思いと情熱がこもった野菜を作り続けることで、すずなりブランドを完成させていただきたいと思っております。

農業の魅力と可能性

農業を始めようと思ったのは大学生の頃。最初は商社などに就職活動をしていました。
私の家は、祖父が営んでいた農業を父が脱サラして後を継ぎ、毎日毎日一生懸命働く父の姿を見ていました。こんなに働かないと農業では食べていけないのかな?と思うことがありました。

長期休みには、家族全員でお茶やみかんの収穫を手伝いに行くため、家族旅行などにゆっくり出かけるような時間がなく、私は農業ではなく別の仕事でご飯を食べて行こうと小さなころに思っていました。

私が大学2年の時に父と母が契約栽培で野菜を栽培するとの連絡があり新しい農業を始めることになりました。
大学の長期休みになるとアルバイトとして、レタス作りを手伝うことになったんです。種を蒔き、苗を作り、水や肥料を与え、収穫する。それは「昔の大変な農業」ではなく、「作物を育てる」という作業でした。生き物の生命を感じすごく楽しい時間でした。

私も作物を育てたいとの思いで当初行うつもりではなかった農業を就職先に決めました。
私は農家の長男で成長してきました。
しかし私は農家ではなく農業を営みたいと思っています。
農業には多くの可能性があります。いろいろな方に出会い指導をいただき成長していきたいです。

手を抜かずに作っているからこそ、「オレ達のえだ豆」のブランド力

「オレ達のえだ豆」は収穫するのにスピード勝負。枝豆って、25度以上の温度に6時間置くと旨み成分がゼロになってしまうんですよ!
収穫したらすぐに冷蔵庫に入れ、鮮度を保つ。そうすることで糖度も保たれ、おいしいままお客様のところに届けられるんです。

こんな風にして、”おいしさ”にとことんこだわり、一生懸命作ったものですから売る側の人たちにも、「自信を持って売ってください!」とお願いしています。

種まきからお客様のお口に入るまで全力で栽培したもう一度食べたくなる枝豆、それが「オレ達のえだ豆」のブランド力だと思っています。

収入を得られるシステムを作り、「農業」を「産業」へ

「オレ達のえだ豆」・「すい~とれたす」。
すずなりで作っているのは主にこの2種類です。なぜこの2種類に絞ったのか?
それはたくさんの野菜を栽培し一番相性の良い作物だからです。農業に携わろうとうちにやってくる若い子たちが、農業だけで生活ができるだけの収入を得られなければ農業から離れていってしまいますから、一番長く農業で生活のできる形を作ってあげたいんです。

自分たちは「農家」ではなく「農業」にこだわっています。
農業を産業として成長させ、農業に携わる人を育てたい。
独立した者がまた人を雇い、成長させ・・・そうやって雇用を生み、地域を活性化する力になっていって欲しい、という思いでやっています。

人づくり>作物・土づくり

良いものを作るには、良い人材が必要。だからこそ私たちは、土や作物以上に人づくりを大切にしています。

すずなりでは、たくさんの若者が社員として働いていますが、その中には、はるばるタイから迎えた仲間もいます。
農業を志して、うちに来てくれた仲間たちには楽しく仕事をしてほしい。チームで仕事をすることで休みだって人並みにとることも可能です。

飲み会をしたり勉強会をしたり、草野球をしたり…仲間としての絆を強くすることで互いに支えあい、会社も人も成長していきます。
社員一人一人が「社長」になるつもりで農園経営のノウハウを学び、将来的には独立を目指し、一緒に静岡のこれからの農業を支えていけたらいいな、と思っています。

すずなりの主力商品

  • オレ達のえだ豆

    茹でて食べるのが一番。あまり茹で過ぎず少し豆の歯ごたえがあるぐらいがおいしい。

  • すい~とれたす

    生が一番。ですが、オイスターソースでいためたり、白菜の代わりとして湯豆腐に入れても良い。

すずなり 鈴木貴博さん 「自分史年表」

1997年(20歳)
両親が始めた野菜作りの手伝いを大学の長期休みを使って行う
1998年(21歳)
両親の圃場を使って一年間独自で勉強した農業で栽培するも大失敗
農業のむずかしさと面白さに感動
1998年(21歳)
両親の出荷先の社長に野菜栽培のコツを学びに行く
この日にこの会社に就職が内定してしまう
1999年(22歳)
九州東海大学工学部卒業 農業で成功すると熱い思いを持って卒業
1999年(23歳)
山梨県の農業生産法人に就職 2年間農業を学ぶ
2001年(25歳)
静岡県にて両親の農園に就職
2001年(25歳)
次男が就農
2004年(28歳)
三男が就農
2006年(30歳)
海外からの実習生を受け入れる
2007年(31歳)
初の社員受け入れ 念願の家族内経営からの脱出
2008年(32歳)
社員の受け入れと同時に会社が一気に成長をはじめ、法人化に移行する案が浮上する
2008年(33歳)
(株)鈴生設立
2011年(36歳)
本社事務所・加工場・直売所が建つ
2011年(36歳)
焼津出荷場設立
2012年(37歳)
菊川出荷場設立
2014年(37歳)
(株)モスフードサービス様と(株)鈴生の共同出資会社の(株)モスファームすずなり設立
2014年(38歳)
磐田出荷場設立

編集部コメント

言葉の一つ一つから、農業の将来への真っ直ぐな思いや仲間たちへの愛情がひしひしと伝わってくるような頼りがいのある魅力的な社長でした。自然と生き物を扱う厳しい仕事だからこそ、人を大切にし、支援することを惜しまない。
そんな人だからこそ慕ってくるたくさんの仲間が集うのでしょうね。
農業で静岡を元気に。- 農業を目指す若者が現実に潰されないように、強い心とノウハウを伝えていこうと頑張る鈴木社長を、賢人としても全力で応援していきたい!と思います。