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2014年10月16日 文化

【レポート】演劇『室内』のヨーロッパ・ツアーを、母親の視点で振り返りました

2014年10月15日

『室内』ヨーロッパ・ツアー レポート(12)

第12回は、母親を演じた鈴木陽代が、

母親役ならではの視点から、今年のヨーロッパ・ツアーを振り返ります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『室内』ヨーロッパツアーが盛況のうちに幕を閉じることができました。

これも皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました!

5月のウィーン・ベルギーに始まり、7月のアヴィニョン、

そして9月にパリ日本文化会館で締めくくりました。

どちらの劇場でもあたたかく迎えていただきましたし、

その土地の個性のようなものも感じました。

本当にお伝えしたいことが山盛りいっぱいなのですが

私が演じたのが「母」だったこともありまして

ここは一つ、子役さんに焦点をあててレポートしたいとおもいます。

 

『室内』にはずっと眠っている一番小さな子どもが登場します。

この小さな静かな眠りが作品の重要な要素なのですが

もしかしたらこの役が一番難しいのではないかしら??

そんな難役を去年の日本初演から

今年のヨーロッパツアーまでつとめあげてくれたのが

こちらヒビキくんです!

ヒビキ

こちらはアヴィニョンの舞台袖でお稽古あとの一枚!

ヒビキ2

こちらはパリの最終日の楽屋で『室内』家族写真です。

ツアーを重ねるごとに大人の顔になっていくヒビキくん。

日本とは勝手が違う海外なのに

コンディションも完璧に調えていて、

本当に素晴らしい!

彼はもう一人前の俳優さんですね。

フランス語の挨拶も上手になっていました。

ヒビキくんが「メルシー!」というと

レジさんはいつもニッコニコでした。

この経験がヒビキくんの中でどんな風に昇華していくのでしょう。

それはどんな風であってもいいものだと思いますが、

私からヒトコト!

ヒビキくんがいてくれたおかげでいいお芝居になりました。

そして、ヒビキくんがこの役のお手本を新しい子達に示してくれたんだよ。

ありがとう!

ヨーロッパツアーでは劇場ごとに

それぞれ新しい子役の子を募集しました。

国によっては、法律上のこともありますが

長い公演期間ですので、お子さんの負担にならないようにするためです。

まず一カ国目のウィーン。

私も初めての海外の子役さんなので緊張したのですが

そんな緊張を吹き飛ばしてくれたのが

タカくんです。

タカ

稽古の合間をぬってお勉強してるところをパチリ。

彼は稽古の一日目から舞台上でグッスリ寝ていました。

いやぁ、肝が太いこと!

ウィーンでは公演期間が短かったのでお稽古だけの参加だったのですが、

「これはこの先もきっと大丈夫!」と思わせてくれたのでした。

ありがとう!

そして間をおかずベルギーです。

ベルギーも公演期間は短かったのですが

こちらの法律で、子役は日替わりということになりました。

本番を見事に乗り切ってくれたのがソウゴくんです。

ソウゴ

ご存知、マルト役たきいみきとのツーショット。

サッカーと合気道をやっているというソウゴくん。

タカくんもそうなんですが、ハーフで日本語も流暢です。

すでに初舞台を踏んでいて、とっても落ち着いた様子でした。

すでに大物の風格。

そうそう、忘れられないエピソードが。

開演前、私たち俳優は舞台の真裏で待機をしていて

モニターで舞台の様子を見ているのですが

その画面に映った後ろ姿を指差してソウゴくんが

「この子だぁれ?」と言いました。

ソウゴくん、それはレジさんだよ。。。

ありがとう!

そして、時は流れて夏のアヴィニョン。

今回のツアーの中で最年少の子役さん、ユメジくんです。

ユメジ

美しすぎるおばあちゃまと。

ユメジくんはクォーターでおじいさまが日本の方です。

日本語は習っていなかったそうですが

ちょうど日本に興味がわいてきた時だったそうで

おじいさまから習った日本語で

「コンニチハ!」とかわいらしく挨拶してくれるのでした。

私、フランス語特訓中でしたので、ユメジくんとカタコトフランス語で

話すのが楽しみでした。

ユメジくんに「これフランス語でなんていうの?」と質問しまして

いっぱい単語を教わりました。かわいい私の先生です。

ありがとう!

さあさあ、いよいよ大詰めのパリ公演。

こちらは約一ヶ月と長丁場なのと、休演日が少なかったこともあって、

新しく二人の子役さんを迎えて、ヒビキくんと3人体制で挑みました。

お一人目、カイトくんです。

カイト

私が無理やり押さえつけてるような。。。

いやそんなことありませんよ!

カイトくんが子役さんの中で一番お兄さんでした。

これは私見ですが、年をとるほうがこの役は難しいと思うのです。

舞台でただ寝なさいって言われたところで、

大人のほうが緊張して眠れないのではないでしょうか。

少年期のおける一年の差って大きいですものね。

でも、カイトくんは見事にやってのけてくれました。

実はパリ公演は現地の稽古日数が短かったため

一回あたりの稽古時間がとても長かったのです。

カイトくんの番が、ちょうど一番長い稽古の日だったと思います。

忍耐強いその姿は、印象的でした。

本番での一コマですが

舞台裏にはもうすぐ出番なのを知らせるライトがあるのです。

それが点灯すると、それまでジッと袖で待機してたカイトくんが

おもむろに屈伸体操や肩を回すのです。

むむむ、慣れてる!試合慣れしている!

ありがとう!

 

そして最後を飾ってくれるのがアルチュールくんです。

アルチュール

秋楽を祝うパーティでリラックスした娘役弓井茉那とアルチュールくんと私。

アルチュールくんは写真がお嫌いで、なんとか頼み込んでとった貴重な写真!

こんなにかっこいいのになぜ!?

学校で1・2を争う俊足のアルチュールくん。

まだ稽古の序盤のころ舞台に慣れてもらおうと思って、

舞台を一緒に走ったのですが、まぁ速いこと!

わたしはついていけませんでした。。。

運動神経抜群のアルチュールくんにとっては、

レジさん特有のゆっくりした動きが不思議だったのかもしれません。

でもそこはセンスがあるアルくん。

何がこの舞台で必要なのかわかってくれました。

レジさんのお芝居は極限までゆっくり動くことが要求されるのですが

そうなると、ゆっくり「しゃがむ」「横たわる」というのが

すごく筋力がいるのです。

特にヨーロッパの生活様式の中では「しゃがむ」という動作は

日本ほど頻繁ではないのでみんな苦戦するところでした。

アルチュールくんはいっぱい練習してくれて

上手に、ゆっくりしゃがんで、横たわってくれました。

そして、今でもおうちで

「コレカラドウシヨウ」

「ヨウスヲミヨウ」

と、ゆっくりセリフを諳んじているそうです。

こどもの記憶力はすごいなぁと思うとともに

一緒にお芝居したものにとってはうれしいことです。

出番を待つ間に、将来サッカー選手になりたい話などもききましたよ。

サッカー、人気だなぁ。

 

さて、みなさん。

もうお気づきでしょう?

何をかって?

それは、子役のみーーーんなハンサムぞろいということです!

いえいえ、世界中のこどもはみーーーんなかわいいんですよ。

わかっているんですよ、わたしでも。

でもね、これを「親バカ」というんでしょうねぇ。

飛び抜けてハンサムぞろいだと思ってしまうのです。

いけませんねぇ。そろそろ「母」から抜けなければ(笑)

 

現実に立ち返って、

本当のご家族のみなさま。

こんな愛らしいお子さんたちとお芝居できてとても光栄でした。

ありがとうございます。

みなさま方のおかげで、『室内』というお芝居が成立できました。

子どもの安らかな寝姿は美しいですね。

守らなくちゃって、自然に思えますもの。

『室内』はハッピーエンドなお芝居ではありません。

描かれてるのは悲劇です。

でも、お子さんたちと一緒に舞台に立って思うのは、悲劇というより

もっと深い、大きい、つかんだら消えてしまうような儚い何かでした。

子役さんと、申し上げてきましたが

この『室内』が初舞台の子ばかりです。

ご協力とご理解がなければ成り立ちませんでした。

本当にありがとうございました!

そして、今一人。

感謝を申し上げたい紅一点がいます。

去年の静岡での稽古の日々をともにしてくれたメグちゃんです。

本番は始まってしまえば終わるけれど、

稽古はいつ終わるかわかりません。

それに、当たり前ですが、

場面を止めたり、もう一回かえしたりするので

「流れ」が途切れます。

時には、これも当たり前のことですが、

厳しい指摘があったり、緊張が支配する場面もあります。

特に初演の稽古は、レジさんにとっても、私たちにとっても未知の世界。

緊張度も高かったのでした。

ヒビキくんも、メグちゃんも

こんな時を一緒に乗り切ってくれました。

これは並大抵のことではないなと思うのです。

メグちゃんは、女の子だけあってお話が上手で

ほぼ対等に、時にはそれ以上に私たちの相手をしてくれました。

その朗らかさに何度救われたことか!

またメグちゃんの持ってきてくれたお菓子をつまみながら

おしゃべりしたいところですが、もうお姉さんになっちゃったかしら?

そんなわけで、最後は静岡の写真で締めくくりますね。

image_7-450x337[1]

キリがないほど、感謝をささげたい方が大勢いらっしゃいます。

これはとっても幸せなことですね。

本当にありがとうございました!

 

鈴木陽代

編集部コメント

『室内』ヨーロッパ・ツアー(5月にオーストリアとベルギー、7月にフランス・アヴィニョン、9月にフランス・パリ)でこんなにかわいい子ども達が活躍していたんですね(*^。^*) 御年90歳、フランス演劇界の巨匠クロード・レジ氏が手掛けた『室内』。彼独自の演劇の世界観から子ども達も多くの事をからだで学んで成長したのでしょうね。み~んな素敵な笑顔♪ ツアーの成功を物語っていますね。