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2015年03月31日 アート・デザイン

SPAC ~主人公の「秘められた欲望」とは!? ベルギーの劇団による『聖★腹話術学園』の紹介!

SPAC-静岡県舞台芸術センターは、静岡芸術劇場(静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)内)および舞台芸術公園や専用稽古場を拠点として、専属の俳優、専門技術スタッフ(劇団SPAC)が活動を行い、また国内外の優れた芸術家や劇団の招聘、若手芸術家の育成を目指す公立文化事業集団です。

文芸部・横山義志による
ふじのくに⇄せかい演劇祭2015見どころ紹介第四弾は、
ベルギーの劇団ポワン・ゼロによる『聖★腹話術学園』。

奇想の映画作家として知られるアレハンドロ・ホドロフスキーの
書き下ろし作品です!

 

ブログ

2015年3月29日

*ふじのくに⇄せかい演劇祭2015 見どころ紹介(4)* 『聖★腹話術学園』
文芸部 横山義志(海外招聘担当)
ふじのくに⇄せかい演劇祭2015の演目をランダムにご紹介していきます。
第四回目は『聖★腹話術学園』。
シュールでブラックユーモアたっぷりの人形劇(?)です。
塀の外の方が自由だぞ

主人公のセレストは、なぜか追われる身となって逃げ回るうちに、
塀をよじのぼって、奇妙な建物の中庭にたどりつきます。
そこに等身大の人形を操る男が登場。
(男ではなく)人形はドン・クリスパンと名乗り、セレストに銃を
突きつけます。操っている(はずの)男によれば、
「おとなしく言うことを聞いた方がいいですよ。銃の中身は本物ですから・・・。」
セレストに迫るドン・クリスパン。
「塀の外にいた方がよっぽど自由だったのにな。
ここは豚箱よりしんどいところだ。学校なんだぞ。さあもう一度塀を登るか、
入学するか、どっちにする?」
そしてセレストは、どう見てもヤバそうなこの「腹話術学園」に入学
することを決めてしまいます。
おまえの人形に魂を譲り渡すんだ

入学すると、まずは自分の人形を作らされます。
その人形に自分の魂まで譲り渡してしまって、あとはひたすら人形に
奉仕する、というのが学園の方針だといいます。
つまりこの学園では人形の方が人間を支配しているわけです。
教育係となった尼僧の人形がセレストに、自分の人形にしたい
「秘められた欲望」をたずねます。
「ロリコンがいいか?それともサドマゾ系か?」
ところが、これに対するセレストの意表を突いた答えから、
徐々に学園の「秩序」がかき乱されていきます・・・。

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演劇人ホドロフスキー

この作品を書いたのは、奇想の映画作家として知られる
アレハンドロ・ホドロフスキー。
日本では『エル・トポ』や、最近公開された『リアリティのダンス』
といった映画作品が知られていますが、実はこの人、もともと演劇を
やりたかった人なのです。チリに生まれ、学生時代から実験的な
演劇作品を発表し、24歳で渡仏。人形劇をやりながら放浪生活を
送っていたところで、パントマイムで有名なマルセル・マルソーに
出会って弟子入りし、百本以上の舞台を演出しています。
『聖★腹話術学園 L’Ecole des Ventriloques』は、このベルギーの
劇団ポワン・ゼロのために書き下ろされた作品。
日本でホドロフスキーの戯曲が上演されるのは、おそらくはじめてです。
ホドロフスキーの作品においては、一見すると奇妙で猥雑な仕掛けが、
同時に高度な精神世界へのいざないともなっています。

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ジャン=ミシェル・ドープ(写真左)とアレハンドロ・ホドロフスキー(写真右)

ベルギーの奇想とリアル

劇団ポワン・ゼロも、今回が初来日となります。
ベルギーの舞台芸術といえば、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルや
ヤン・ファーブルなど、フラマン語(オランダ語)圏のアーティストたち
は日本でもよく知られていますが、フランス語圏のアーティストは
ほとんど紹介されていません。
ですがベルギーのフランス語圏からは、ルネ・マグリットやアンソール、
ポール・デルヴォーといった数々の奇想の画家たちが輩出されています。
そして、フランス語で書いたベルギー出身の偉大な作家として、
『青い鳥』や『群盲(盲点たち)』の作者メーテルリンクがいます。
ここには、理知的なものを尊重してきたフランスとは大きく異なる、
グロテスクなブラックユーモアが神秘的思想へと至る鍵になるような、
独特の世界があります。ポワン・ゼロも、リアルな世界と夢幻的な
世界が地つづきでつながっているような、上演の難しい作品を好んで
舞台化してきた劇団です。

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「ポワン・ゼロ」のメンバー(含む、人形)

ポワン・ゼロとの出会い

ポワン・ゼロは上演する作品に合わせてスタイルを大きく変えています。
このホドロフスキーの作品を上演するにあたって、ポワン・ゼロは
人形劇の専門家に指導を仰ぎ、古典的な技術を学びつつも極めて独創的な
人形を作り上げ、人形に支配される特異な世界をみごとに表現しています。
この作品は2014年のアヴィニョン演劇祭のオフで上演され、
話題を呼んでいました。SPACからも『マハーバーラタ』や『室内』の公演に
参加していた多くの俳優やスタッフが観に行き、アヴィニョン滞在中に
観たなかで一番面白かった作品として挙げていました。

というわけで、内に秘めた欲望がある方もそうでない方も、ぜひ学園の
門を叩いてみてください。きっと不思議な顔をした人形たちが、
訪れたことのない世界へと連れて行ってくれます。

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日本初演 演劇/ベルギー
『聖★腹話術学園』
演出: ジャン=ミシェル・ドープ
作: アレハンドロ・ホドロフスキー
出演: ポワン・ゼロ
5/5(火・祝)16:00、6(水・祝)12:00
静岡芸術劇場
http://www.spac.or.jp/15_the-ventriloquists-school.html
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編集部コメント

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2015」の見どころをランダムに紹介してくれているブログも第4弾!
今回はベルギーの劇団ポワン・ゼロによる『聖★腹話術学園』。昨年のアヴィニョン演劇祭のオフでも上演され、SPACのスタッフや俳優さんたちからの支持も厚いようですね。等身大の人形の奇妙さが何とも言えないですが、操っているはずの人形に操られていく・・・奥が深くて興味深い内容ですね。 内に秘めた欲望・・・誰しも人には言えないことがありますよね。一体主人公のセレストの答えは何なんでしょうか?
気になりますよね~ この答えは劇場で! 日本初演となる今回の舞台をお見逃しなく!