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2015年04月01日 アート・デザイン

SPAC ~見どころ第5弾☆中東の「今」を笑いで描く作品を紹介!

SPAC-静岡県舞台芸術センターは、静岡芸術劇場(静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)内)および舞台芸術公園や専用稽古場を拠点として、専属の俳優、専門技術スタッフ(劇団SPAC)が活動を行い、また国内外の優れた芸術家や劇団の招聘、若手芸術家の育成を目指す公立文化事業集団です。

文芸部・横山義志による
ふじのくに⇄せかい演劇祭2015見どころ紹介第五弾は、
中東レバノンの、ブラックユーモアあふれる
『ベイルートでゴドーを待ちながら』。

「多才なコメディアン二人による、不思議にリアルな不条理劇を
お楽しみください。」(横山)

ブログ

 

2015年3月30日

*ふじのくに⇄せかい演劇祭2015 見どころ紹介(5)
* 『ベイルートでゴドーを待ちながら』
文芸部 横山義志(海外招聘担当)

ふじのくに⇄せかい演劇祭2015の演目をランダムにご紹介していきます。
第五回目は『ベイルートでゴドーを待ちながら』。
中東レバノンの、これもブラックユーモアにあふれた作品です。
ベイルートで、中東で、ヨーロッパで
一昨年ドイツで行われていたアラブ演劇のフェスティバルで、
一番客席が沸いていた作品でした。アラビア語上演でところどころ
ドイツ語の字幕が出ている、という感じなのに、たたみかけるような
対話と絶妙の間で、客席はすっかりイサームとファーディーの二人に
魅了されていました。聞けば、この作品をベイルートでやるときは、
48時間前に告知しても劇場がいっぱいになる、というくらい評判に
なった作品だそうです。
二人とも、映画やテレビドラマなどで、レバノンだけでなく中東全域で
活躍し、フランス映画にも出ていたりします。

中東の不条理的日常

浮浪者風の男が二人。なぜか新聞の訃報欄を読んでいます。
「この若者は自動車事故で死んだらしいぞ」「こっちは医者だ」
「じゃあ俺の背中を治してくれるかな」
「何言ってんだ、死んでるんだぞ」等々・・・。
どっちの葬式に行った方がいいものが食べられるか?些細なきっかけで
はじまった言い争いは罵りあいへとエスカレートしていきます・・・。

邦題のとおり、不条理劇の代表的作品であるベケットの
『ゴドーを待ちながら』をモデルにして、現代のレバノンを描く作品。
レバノンは「宗教の博物館」ともいわれ、国会の議員数が主にイスラム教と
キリスト教の公認18宗派ごとに割り当てられています。
この宗派同士の対立に、さらに国家主義、社会主義、共産主義等々の
党派も加わって、レバノン政治はかなり複雑な状況を呈しています。
そのうえ、隣国シリアやイスラエル・パレスティナ(かつては同じ地域圏でした)、
さらには最大宗派のシーア派を通じてイランからの影響も大きく、
1975年から15年にわたって内戦状態にありました。
レバノンの演劇人が不条理劇を好むのは、日常そのものがあまりに不条理
だからでしょう。

レバノンを代表する演劇人

イサーム・ブーハーレドは演出家・劇作家として、今日のレバノン演劇を
代表する存在の一人です。
レバノンの首都ベイルートは中東でも有数の文化都市で、多くの演劇人を
輩出してきました。これまでSPACでは、レバノン出身のアーティストとして、
ラビァ・ムルエとワジディ・ムアワッドを紹介してきました。

*ラビァ・ムルエ『消えた官僚を探して』(Shizuoka春の芸術祭2008)
http://www.spac.or.jp/08_spring/disappear.html

*ワジディ・ムアワッド『頼むから静かに死んでくれ』(Shizuoka春の芸術祭2010)
http://www.spac.or.jp/10_spring/littoral.html

イサームはラビァと同世代ですが、様々なメディアを使いこなし、
世界中のフェスティバルで紹介されているラビァに比べると、
より演劇にこだわり、ベイルートにこだわってきたアーティストです。
ベイルートの中心部でレバノンの演劇文化を支えてきた「ベイルート劇場」
の芸術監督を務めていましたが、立地がよいので投機の対象となり、
売却されてホテルになることが決まったといいます。
ベイルートでは演劇教育が盛んで、二人ともベイルートの大学で演劇を学び、
今では演劇の授業を担当したりもしていますが、演劇活動に対する公的補助は
ほとんどなく、舞台自体を職業にするのは極めて難しい状況です。
イサームがあまり外国に行かないのは「飛行機が嫌いだから」、
とも言っていましたが(ドイツで会ったときもさんざん
「日本?飛行機だよなあ・・・何時間かかるのかなあ・・・」などとぼやいていました)、
近年はヨーロッパにもたびたび招聘されるようになってきました。

 

多才なコメディアン二人による、不思議にリアルな不条理劇をお楽しみください。

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日本初演 演劇/レバノン
『ベイルートでゴドーを待ちながら』
作・演出: イサーム・ブーハーレド、ファーディー・アビーサムラー
(サルマド・ルイの協力による)
出演: イサーム・ブーハーレド、ファーディー・アビーサムラー

5/2(土)17:00、3(日)12:00、4(月・祝)13:30

舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」

http://www.spac.or.jp/15_page-7.html
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編集部コメント

毎回ランダムに「ふじのくに⇄せかい演劇祭2015」の見どころを紹介してくれているブログも第5弾!今回は中東レバノンからの作品ですね。レバノン、今近くにあった地球儀で位置を確認しましたが、ニュースでもよく見聞きする治安も不安定な地域ですよね。そういう中にも日常があって、そこに住む人々が日々暮らしを営んでいるわけです。日常の中の不条理が今回の作品にも反映されているとすると、どこか重くなりそうですが、そこは多才な二人のコメディアン! 中東の今を笑いを通して私たちに届けてくれるのでしょうね。 貴重な機会をお見逃しなく!